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筑波山の裾野、西麓緩斜面の地形図

丘陵の縁沿いに川が流れることが多いわけ

Why do rivers want to flow along the edge of hills?

 上の地図は筑波山の西の山麓にある土石流堆積物に覆われた山麓緩斜面(裾野)である。この緩斜面の北には真壁町酒寄から椎尾山に続く丘陵があり、その縁に沿って熊の川が流れている。 また、緩斜面の南には大島三角点の丘があり、その縁に沿っても名前のない川が流れている。このような川の側方侵食によって丘陵地が削られ、緩斜面がひろがることは本テーマ21ページの本文で述べた。
 筑波山の裾野ではこのように川が丘陵の縁にへばりつくように流れる例が多い。何故だろうか。考えられる原因としては:
①山麓緩斜面の中央部は、谷からから勢いよく流れ出る土石流の砂礫が多く堆積するため高くなり、川はそこより低い縁辺部を流れやすい。
②山麓緩斜面の縁辺部は、丘陵の斜面から供給される雨水や地中水で水がちになり川ができやすい。武蔵野台地の南の縁に沿って野川という川が流れているのと似た状況と言える。
③山麓緩斜面の上は土石流が堆積しいた巨大な岩塊が多くて川は流れにくい。どこが流れやすいかいろいろ試してみた結果、緩斜面の縁の丘陵地との境界部がもっとも良さそうだということになる。 丘陵をつくる花崗岩は風化していることが多く、それを削って流れやすい流路ができる。
 なお、筑波山域ジオパークのジオサイトの一つである羽鳥ジオサイトの説明版には次のような説明がある: 「・・・。斑レイ岩の岩塊に覆われた斜面は侵食に強いので、水流は谷を掘り下げるだけではなく、横に拡げ、それを土石流が埋めます。そのため斜面が横に拡がり、幅広い山麓緩斜面が作られました。」 これは おそらく、上記の③の理由で丘陵の縁を流れるようになった川の侵食によって山麓緩斜面(裾野)が拡がることを説明したいらしいが、余りにも舌足らずで、一般の人には理解不能だろう。

テーマ 43. 個性豊かな筑波山-その2:裾野も楽しい筑波山  P.21 の資料

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