サンアンドレアス断層は、北は、カリフォルニア州の最西端のメンドシノ岬の南方 20q の
ゴルダ岬(Punta Gorda、北緯 40 度 15分)、南は、カリフォルニア湾の湾頭まで、1350q 続く活断層で、
サンアンドレアス断層とそれに関係深い断層(サンアンドレアス断層システム)の活動によって、
地震が多発している。この図において、海岸線沿いおよびそのやや内陸の地震がそれである。
ゴルダ岬付近に密集た地震は、メンドシノ三重会合点に関係して発生たもので、サンアンドレアス断層システム
の地震とはみなされない。なお、この図では、地震を Historical のもの(ピンク色)と Recent のもの
(濃い赤色)に分けているが、Historical の地震とは、1970年代以前の地震で、それ以後の Recent の地震の
ようには位置や規模(マグニチュード)が正確でないものである。
原図:Engdahl, E.R., and Rinehart, W.A.(1988):Seismicity map of North America.
Geological Society of America発行
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サンアンドレアス断層に接するポイントレイズ国立海浜公園
Point Rayes National seashore boadering the San Andreas Fault
成田からロサンゼルスに向かう航空便は、かなり北のほうでアメリカ大陸に接近したのち、
西海岸に沿って南下しはじめた。サンフランシスコを通過する直前に見える目立つ地形がこのポイントレイズ
(Point Rayes)半島である。半島の付け根の付近には、写真中央から右に向かって、木々が茂って
黒っぽいポイントレイズ丘陵が細長く延び、その向こうには丘陵と並行に、これまた細長い
水面が見える。これは川ではなくトマレス湾(Tomales Bay)という湾である。この細長い丘陵と湾が接する
ところにサンアンドレアス断層が通っている。この典型的な横ずれ断層を境に、手前のポイントレイズ
丘陵や半島がある土地は左方向(北向き)に、断層の向こうの土地は右(南)方向に動いている。
このように、向こう側の土地が右にずれる断層を右横ずれ断層という。下記の写真中心位置の Google Map を
開くと、この付近の地形の特徴がよりよく理解できる。なお、ポイントレイズ丘陵の緑が豊かなのは、
ポイントレイズ半島一帯が国立海浜公園(National seashore)という自然保護地域に指定されているためである。
1994年6月27日撮影
カメラの位置 (緯度,経度):+37 47 24.89, -123 8 22.15 (Google Map)
撮影方向:北から時計回り 36° 写真中心位置:+38 4 48.16, -122 52 7.56 (Google Map)
PanoraGeo-No.478
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サンアンドレアス断層
San Andreas Fault
サンフランシスコとロサンゼルス両国際空港を直線で結ぶ航空路のほとんどの
区間がサンアンドレアス断層に沿ってのびている。サンフランシスコ離陸直後に、1989年の大地震(M=7.1)の
名となったロマプリータ(Loma Prieta)山の上空を通り、両市中間付近では、M=6.0 前後の地震が20年置きくらいに
繰り返し起こることで有名なパークフィールド(Parkfield)という小さな村1)、
次いで、この写真の天然記念物カリーゾ平原(Carrizo Plain)で、
画面下部を左右に延びる線状の地形がサンアンドレアス断層線である。東から西に向かって眺めたもので、
これを境に南西(写真では上)の土地が北西方(写真では右)へずれる右横ずれ断層である。
1857年に起きた合衆国最大の地震の一つといわれるフォートテジョン地震(M=7.9)では、カリーゾ平原で 9m の
横ずれが記録されている。成田からロサンゼルスへの定期航空便の窓から、注意していれば、このような
景観を観察することができる。
1) 岡田義光(防災科学技術研究所):
パークフィールド地震について
1997年7月25日撮影
カメラの位置 (緯度,経度):+35 10 30.49, -119 32 49.96 (Google Map)
撮影方向:北から時計回り 233° 写真中心位置:+35 6 16.75, -119 39 39.91 (Google Map)
PanoraGeo-No.2
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カリーゾ平原南部のサンアドレアス断層
San Andreas Fault in the southern part of Carrizo Plain
サンフランシスコとロサンゼルスの間の海岸山脈(南カリフォルニア海岸山脈)は、
太平洋の海岸線に平行に走る多数の小さい山脈と盆地の集まりである。写真はその最南部で、
上部(西)から、カヤーマ(Cuyama)川平野の灌漑農地、カリエンテ(Caliente)山脈、
そしてカリーゾ(Carrizo)平原と並んでいる。画面の一番下(東)の部分を占めるのは、
カリーゾ平原の中に横たわる低い丘陵である。この緩やかな丘陵には草や低木が
生えてやや濃い褐色に見えるが、その西の(写真では上)縁の部分は、急な斜面が連なっている。
侵食が活発なため、植生が疎らで、画像では白っぽく見える帯状の部分である。この急斜面の麓付近
(白っぽい帯の上沿い)にサンアンドレアス断層が、何本かの近接して並走する断層線(断層帯)となて
走っている。この急斜面はサンアンドレアス断層の横ずれでできた断層崖である。この断層崖には
たくさんの小谷が刻まれているが、谷と谷の間の尾根の多くは、麓近くで急に
右に折れ曲がっている。これは断層の右横ずれ運動の結果できるシャッターリッジ(閉塞丘)という地形である。
1997年7月25日
カメラの位置 (緯度,経度):+35 5 56.81, -119 25 55.84 (Google Map)
撮影方向:北から時計回り 230° 写真中心位置:+35 0 53.95, -119 33 18.10 (Google Map)
PanoraGeo-No.479
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サラダ湖とクカパー山脈
Laguna de los Salada & Sierra de Los Cucapah
アメリカ合衆国との国境に近いメキシコのメヒカリ市上空から南西を望んだ写真である。
手前(写真下部)はメヒカリ近郊の灌漑農地、写真中段に横たわるのがクカパー山脈という断層山地、
その向こうにほとんど干上がったサラダ湖が見える。サンアンドレアス断層がその南端部で、
いくつかの雁行する断層に分かれて南に伸び、カリフォルニア湾底へ至る部分である。
合衆国とメキシコの国境付近はサンアンドレアス断層システムの活動による大地震がとくに多いところである
(このテーマ冒頭の0/5 ページの「アメリカ合衆国西部の地震分布」を参照)。
クカパー山脈の、この写真が面する北東山麓には、無植生で白く見える大規模な扇状地が発達しているが、
その扇頂部には、山脈本体から切り離されたような丘が並んでいる。これらは、横ずれ断層運動によって
つくられたシャッターリッジ(閉塞丘)の大規模なものである。
1997年7月25日撮影
カメラの位置 (緯度,経度):+32 43 42.20, -115 24 24.38 (Google Map)
撮影方向:北から時計回り 208° 写真中心位置:+32 26 48.52, -115 35 14.36 (Google Map)
PanoraGeo-No.301
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カリフォルニア湾に浮かぶ火山島、トルトゥーガ島
Tortuga Island, a volcanic island in the Gulf of California
トルトゥーガはスペイン語で亀のこと。南北に細長く 1000q あるカルフォルニア湾の
中央部にあり、長径5q、短径3q、高さ 210m 、平面形が楕円形の島で、ウミガメに似ている形からそうよばれるらしい。
サンアンドレアス断層は北アメリカプレートと太平洋プレートの境界であるが、この境界を南に
たどると、カリフォルニア湾の海底に続き、複雑な形を呈するよになる。カリフォルニア湾の底では、南方の
東太平洋海嶺に続く海嶺が、多数のトランスフォーム断層で切断されつつ、横ずれを繰り返しながら続いている。
海嶺は地下深くからマントル物質が上昇してくる場所。トルトゥーガ島はこのような海嶺に関係してできた
小規模な楯状火山である。頂上には、直径 1.2q、深さ 100m のカルデラがある。2005年、カルフォルニア湾にある
244 の島々と周辺の海域ともに「カリフォルニア湾の島々と自然保護区群」という世界自然遺産になった。
1994年6月27日撮影
カメラの位置 (緯度,経度):+27 19 55.65, -112 4 1.45 (Google Map)
撮影方向:北から時計回り 61° 写真中心位置:+27 26 8.39, -111 51 24.17 (Google Map)
PanoraGeo-No.477
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サンアンドレアス断層
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