熱帯雨林を伐採してつくられたアクレ州シャプリ市郊外の牧場はどこも不毛な赤土(ラトゾル)で牧草は貧弱であるが、一部に、この写真のように木立が多いところがある。
この木はパラグリの木(学名:Bertholletia excelsa)で、 1994 年のブラジルの連邦令で伐採が禁止されたため、牧場になってもこのように残っている。
パラグリ(現地名:カスターニャドパラ、Castanha-do-Pará)はブラジルナッツとも呼ばれ、その実は栄養価が高い食品である。
一般に、熱帯雨林では一種類の木がとくに多かったり群生したりすることはないが、パラグリの木はこの写真のような群生地をつくる場合がある。
カスタニャイス(Castanhais)と呼ばれるこのような群生地はアマゾン森林の住民にとっては貴重な採取場所であった(参照:パラグリの採集)。
アクレ州のパラグリの生産量はブラジル第一位である。
パラグリの木はアマゾンの熱帯雨林における代表的な高木で、この写真を使っての計測では、画面中央から左にかけて手前に並ぶ4本の木の高さは、左からそれぞれ、38m、37m、40m、38m であった。
3層~5層からなるというアマゾン熱帯雨林の層構造では、パラグリの木は高さ 40m くらいの最上位の巨大高木層を構成する。
その下位の高さ 30m 前後の高木層の木々が互いに枝葉を接して鬱閉層をつくっている中で、パラグリの木はその上に飛び出した目立つ存在である。
2011年9月9日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-10 42 7.86, -68 10 35.82 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 172°
PanoraGeo-No.236
テーマ 41. アマゾンとアンデスを結ぶ 大洋間横断道路 P.4 で使用