1986 年台風 10 号から変わった低気圧によって、8月4日から5日にかけて、栃木県東部と茨城県西部は記録的な豪雨に見舞われた。 茨城県筑西市(当時は下館市)では、4日正午ごろから 24 時間に 300㎜ を超える雨が降った。 雨が止んだ後も小貝川の増水は続き、5日午後2時には、この写真の左下端に見える黒子橋の観測所における水位が、計画高水位 6.082m をはるかに超える 6.8m に達した。 各所で小貝川の濁水が堤防を越えて堤内地(集落や田畑がある所)に流れ込んだ。 この写真の中央にある飯田集落の対岸のように堤防の緑がなくなり白く泡立っている部分がそのような越水区間で、この氾濫がいかに激しいものであったかがわかる。 小貝川と写真左から来る大谷川に挟まれたところにあった母子島(はこじま)、飯田、椿宮、小釜、一丁田の五つの集落は完全に水の中に取り残されている。 この災害の後、これらの集落が集団移転し、その跡地に母子島遊水地がつくられた。
写真出典:下館工事事務所監修・発行(1991):小貝川激特事業の記録-- いま刻まれる、新しい地への旅立ち p.15-16.
テーマ 32. 小貝川母子島遊水地 P.13 の資料 |