筑波山自然研究路の時計回りで男体山南面、崖崩れが起きた中ノ沢源流の急斜面を過ぎて緩やかな尾根に出たところにこの東屋がある。
これを建てるために低い崖が切られたが、そこに直径1mくらいの丸い石が顔を出している。
丸い石と言えば川の石を考えるが、ここは男体山頂から高さで 50m足らず下っただけの山の上なので、それは無理。石の表面を触ってみても川の石のようにツルツルではない。
これは、岩盤が顕著な風化を受けてできたコアストーン(核岩)以外のなにものでもない。
コアストーンの周りの風化物質はいわゆるマサ(専門的にはサプロライトという)である。
花崗岩のマサはポピュラーであるが、斑れい岩のマサは筑波山ではなかなか見られない。
この写真の丸い石の左には、それが見える貴重な崖(露頭)があったが、大部分がパラパラ崩れた土砂で埋まってしまい、今では上部がわずかに見えるだけである(参照:風化した斑れい岩の写真)。
このように、地形が緩やかなところには斑れい岩の風化物(コアストーンやマサ)が残っている。一方、中ノ沢源流のような急斜面では、風化物は崩れ去って硬い岩盤だけになっている。
このような急斜面の岩盤だけを見て、斑れい岩が風化しにくいと考えるのは単純すぎる。
2022年11月25日撮影 カメラの位置(緯度,経度):+36 13 31.99, +140 5 49.74 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 50°
PanoraGeo-No.664
テーマ 42.個性豊かな筑波山-その1:筑波山はなぜ目立つ? P.12 で使用