アタライア浜のような礫浜ができるには、継続的に大量の礫を供給する場所があることと、それを運搬する適当な方向の強い波があることが必要である。
上のグーグルアース衛星写真を見るとアタライア湾はこのような条件を備えていることがわかる。
供給源:礫をおもに供給するのは湾東岸の岬付近にあるアンカラトライトの崖である。
アンカラトライトは硬い岩石なので、サンショビーチのようにこの岩石が直接波にさらされる海岸でも、
頻繁に崩壊して大量の岩塊を産することはなく、礫浜はできない。
これに対してアタライア湾の場合には、アンカラトライト溶岩層の下位に、第一期火山活動による凝灰岩・凝灰角礫岩の層がある。
衛星写真にも白い凝灰岩の崩壊地が見られるように、この比較的脆い地層が波にさらされ頻繁に崩壊するする。
このため、その上位にあるアンカラトライトも崩れやすくなる(オレンジ色大矢印)。
波:南東貿易風帯にある大西洋の荒波は、この衛星写真取得日(2014/3/14)のように南東から湾に入って来ることが多い。
岬付近の波打つ際に溜まった岩塊は、このような波によって砕かれ磨かれつつ湾の奥へと運ばれる(オレンジ色小矢印)。
実際には礫はピンク色の線のようにジグザグを描きながら動く。
このジグザクは、礫が寄せ波によって海岸線に斜めに打ち上げられ、引き波によっては海岸線に直角に戻されることの繰り返しを示している。
このようなプロセスの結果、礫はオレンジ色小矢印のように移動する。
海岸におけるこのような形の砂礫の移動はビーチドリフト(Beach drift)と呼ばれ、
砂の移動の場合が多いので、日本では海浜漂砂という語がある。
日本でこれに似た礫浜の例としては、玄界灘沿岸に見られる玄武岩の礫浜を挙げることができる*1)。
*1) 土田大芳ほか(1993):玄界灘沿岸に発達する礫浜の形成機構
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