このグラフは、パラ州内のアマゾン横断道路沿線における主要作物作付面積の推移を示すもので、 マラバからイタイツーバに至る 14 のムニシピオ*1)(日本の市町村にあたる)からなる地域を対象としている。
その中心部にあるアルタミラなどの都市の周辺農家では、アマゾン横断道路建設以前には、おもにキャッサバ、フェジョン豆、コメを栽培していた。
アマゾン横断道路開通後の 1976 年には、政府による永年作物(樹木作物)の栽培奨励によって、カカオ、コーヒー、黒コショウなどが導入された*2)。
その後、国際価格の変動や疫病発生などの影響で黒コショウのように伸びない作物もあったが、作物の種類はかなり多様化し、1990 年には、このグラフの冒頭に示されているような7つがおもな作物であった。
その後の 30 年間あまりにおける変化は:
作物全体の作付面積に関しては、1990 年代平均の約 17 万ヘクタールから 2010 年代平均の 19 万ヘクタールになっただけで、顕著な増加は見られない。
一方、栽培作物の種類はかなり単純化する傾向があり、コーヒーが衰退し、コメやフェジョン豆も減少したのに対し、カカオが著しく増加してこの地域の主要作物に成長している。
これに伴い、ブラジルにおけるカカオ生産地域の状況が急速に変化した(下の円グラフ参照)。
今世紀初め頃まで、ブラジルのカカオ生産ではバイア州が圧倒的な地位を占めていたが、近年ではパラ州がバイア州を凌駕するようになった。
アマゾン横断道路沿線がブラジルの中心的カカオ生産地域になった影響が大きい。
ブラジルにおけるカカオ豆生産量の地域的変化
( )はその年のブラジルにおけるカカオ豆生産総量
*1) マラバ、イツピランガ、ノヴォレパルチメント、パカジャー、アナプー、セナドールジョゼポルフィリオ、ヴィトリアドシングー、アルタミラ、ブラジルノヴォ、メジチランジア、ウルアラ、プラカス、ルーロポリス、イタイツーバの 14 ムニシピオ。
*2) Herrera, J. A. & Guerra, G.A.D.(2006):
Exploração agricola familiar e o processo de ocupação região Transamazônica., p.10-11
資料:両図とも、ブラジル地理統計院(IBGE)ホームページ:https://sidra.ibge.gov.br/tabela/1612、および同 1213 より作成
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