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19. 海の世界遺産、フェルナンド デ ノローニャ島へ
Visit Fernando de Noronha, a World Heritage Site by the Sea

赤道大西洋の火山島、フェルナンド デ ノローニャ

Fernando de Noronha, a volcanic island in the equatorial Atlantic

 フェルナンド デ ノローニャ島は南アメリカ大陸の北東端に近いナタール市の東北東約 370㎞ にある。 21 の島からなるフェルナンド デ ノローニャ諸島(総面積 26㎞2)で最大の島(面積 18㎞2)で、人が住んでいるのはこの島だけである。 行政的にはブラジル、ペルナンブコ州の自治体(ムニシピオ=市町村)である。同州の州都レシーフェから島へは定期航空便があり、1時間 30~40 分かかる。
 大西洋の中軸部をS字状に伸びる大西洋中央海嶺を胴切りするように多数の断裂帯(トランスフォーム断層)がほぼ東西方向に走っている。 その一つ、フェルナンドデノローニャ断裂帯の西部には古い火山が東西に並ぶ火山列があり、フェルナンド デ ノローニャ島はその一番東に位置している。 この火山列には活動している火山はなく、フェルナンドデノローニャ島とその西方のロカス環礁以外の火山は海に没している。 ブラジル本土のセアラ州フォルタレーザ市近郊には、これらの火山と同じ岩質の火山岩の丘が複数あり、この火山列の延長と考えられている。
 この火山列のでき方については、フェルナンドデノローニャ島付近に小規模なホットスポットがあり、その位置に次々にできた火山が西へ動くプレートに乗って移動して行った結果であるという考えが有力である。 ホットスポットの火山にはアルカリ岩という日本にはきわめて稀な種類の岩石が見られることがあるが、フェルナンドデノローニャ島は、全島いろいろな種類のアルカリ岩からなっており、まさに岩石から見た別世界である。

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フェルナンドデノローニャ島 1 /17 前の画像へ 次の画像へ
「内の海」マール·デ·デントロ

フェルナンド デ ノローニャ島の「内の海」(マール・デ・デントロ)

"Inside Sea"(Mar de Dentro)of Fernando de Noronha Island

 フェルナンド デ ノローニャ島は長さ 10㎞、幅 3㎞ ほどの細長い島で、北東―南西方向に長く伸びている。写真はこの島の北西側に広がる「内の海」(マール・デ・デントロ)である。 そのように呼ばれるのは、こちら側が島を常時吹き抜ける南東貿易風に対する島陰になっていて、波静かな穏やかな海だからである。緩やかで広々とした砂浜が小さな岬に仕切られていくつも並んでいる。 この島で唯一の港はもちろんこちら側にあり(参照:サントアントニオ港付近の衛星写真)、ほとんどの集落も「内の海」近くに分布している。
 フェルナンド デ ノローニャ諸島はブラジル政府の「フェルナンドデノローニャ海洋国立公園」である。ブラジルの国立公園は、人の居住や資源の採取が禁止という規制の厳しい自然保護地区である。 このため、多くの住民の生活の場である「内の海」沿岸の陸域と海域(ほぼこの写真の範囲)は国立公園から外され、環境保全地域」という規制がやや緩い自然保護地区になっている (参照:海洋国立公園の地図)。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 2.25, -32 26 27.19 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 61°

PanoraGeo-No.693

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フェルナンドデノローニャ島 2 /17 前の画像へ 次の画像へ
「外の海」に面するレアン浜

「外の海」(マール・デ・フォーラ)に面するレアン浜

Leão Beach facing the "Outside Sea"(Mar de Fora)

 フェルナンド デ ノローニャ島の南東側に広がる海を「外の海」(マール・デ・フォーラ)という。 常に南東貿易風にさらされ、外洋そのままの荒い海なのでそのように呼ばれる。 「外の海」の海岸一帯は、陸域も海域もブラジルの自然保護地区の中でも規制が最も厳しい「国立公園」に指定され、人の居住や資源の採取などが禁止されている。 写真はそのような状況下にあるレアン浜(レアンとはライオンのこと)で、人影はおろか、漁船、家屋、道路など、人の生活の気配が全く感じられない荒涼とした景観である。

 この島の年降水量は 1400mm を超すが、8月から 12 月までの5か月間はほとんど雨が降らない。 このため雨季と乾季の交替が顕著なサバナ気候に分類される。 これに加え、強風、山火事、および、かつて激しかった樹木の伐採などの影響で、この「外の海」沿岸ばかりでなく、島全体に豊かな森林は見られず、背の低い灌木林がほとんどである。

(右の気温と降水量の表をクリックして拡大)

気温と降水量の表

フェルナンドデノローニャの
気温と降水量*1)


*1) Emprapa 気候データーバンク、1961-1990平年値

2007年3月30日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 52 11.01, -32 26 2.31 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 254°

PanoraGeo-No.293

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フェルナンドデノローニャ島 3 /17 前の画像へ 次の画像へ
Morro do Pico, landmark of Fernando de Noronha Island

フェルナンド デ ノローニャ島のランドマーク、ピコの丘

Pico Hill(Morro do Pico), landmark of Fernando de Noronha Island

 フェルナンド デ ノローニャ空港に着いてまず目に付くのがこのピコの丘(標高 323m)である。 響岩きょうがんフォノライト)という日本にはない火山岩からできている。 硬く緻密な板状の岩片に割れやすいが、それをハンマーなどで叩くと金属的な音がするので、フォノPhono-(音)とライト-lite(岩石・鉱物名の接尾辞)と呼ばれ、日本では響岩と訳される。
 火山において、地下のマグマだまりから火口までマグマが上って来る通り道を火道というが、噴火が終わった時、火道の中に残ったマグマが固まって巨大な棒状の岩体ができる。 このような岩体を(火山)岩頚がんけい、ネック neck)あるいは岩栓(がんせん、プラグ plug)という。 噴火活動を終えた火山が侵食されて行く際、周りの岩石が無くなっても火道の硬い岩体は削られずに残ることが多い。こうしてできた塔状の地形も岩頚あるいは岩栓と呼ばれ、ピコの丘は典型的な岩頚である。 フェルナンド デ ノローニャ諸島にはピコの丘以外にも同様な響岩の丘や島が大きなものだけで 11 もある*1)

*1) Almeida, F.F.M.(2002):Arquipélago de Fernando de Noronha. in Sítio Geológico e Paleontológicos do Brasil, p.364.

2007年3月28日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 15.17, -32 25 36.73 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 22°

PanoraGeo-No.291

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フェルナンドデノローニャ島 4 /17 前の画像へ 次の画像へ
フェルナンドデノローニャ諸島北部のセラジネータ島

フェルナンドデノローニャ諸島北部のセラジネータ島

Sela Gineta Island in the northern part of Fernando de Noronha Archipelago

 フェルナンドデノローニャ諸島北部にあるセラジネータ島は、ピコの丘と同じ響岩(フォノライト)からなる島で、白っぽい露岩の圧倒的な存在感は印象的である。 文献によっては粗面岩(トラカイト)としているものもあるが、響岩と粗面岩は化学成分的に近接した岩石なので、どちらに分類されるか微妙なところである。 いずれの岩石もカリウムやナトリウムなどのアルカリ金属を多く含むアルカリ岩で、アルカリ岩の中では珪酸分が比較的多い白みがかった灰色の岩石である(参照:TASダイアグラム)。 これらの岩石は日本にはきわめて少なく、隠岐ユネスコ世界ジオパークの白島海岸(隠岐の島町)などの粗面岩が有名である。 2021 年8月 13 日、小笠原諸島の海底火山、福徳岡の場の噴火で大量に噴出し、沖縄諸島などに漂流して行き問題となった軽石も粗面岩と分析されている。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 49 5.42, -32 23 53.44 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 144°

PanoraGeo-No.688

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フェルナンドデノローニャ島 5 /17 前の画像へ 次の画像へ
「内の海}沿岸のピコの丘と溶岩台地

「内の海」に臨むピコの丘と溶岩台地

Pico Hill(Morro do Pico) and lava plateau facing the Inside Sea (Mar de Dentro)

 フェルナンド デ ノローニャ諸島をつくった火山活動は二期に分かれる。 第一期火山活動は 1200 万年から 900 万年前にわたる新第三紀中新世後期のもので、爆発的噴火によって粉々になった岩片や火山灰(火山砕屑物)を噴出・堆積して、深さ 4000m の深海底から海面に達する大規模が山体をつくった活動である。 火山砕屑岩とそれを貫く岩体からなるこの時期の岩層をレメジオス層という。レメジオス層の地域では侵食されやすい火山砕屑岩のところは低い台地や海底となり、硬い岩体のところだけがこの写真手前のピコの丘のようにそびえている。
 しばらくの休止期を経て、今から 600~100 万年前に第二期火山活動が起きた。第二期の活動は、火山砕屑物の噴出もあったが、主に溶岩を流出するタイプの噴火であった。 島の約 3/4 はこの時期の溶岩流や火山砕屑岩からなるキシャバ層で覆われている(資料:フェルナンドデノローニャ諸島の地質図)。 写真遠方に見える頂きの平坦な台地はキシャバ層の溶岩台地である。その右に見える同じような恰好をした二つの島(ドイス イルマンス島)もこの溶岩でできており、侵食によって溶岩台地から切り離されたものである。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 49 26.16, -32 24 14.04 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 227°

PanoraGeo-No.288

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フェルナンドデノローニャ島 6 /17 前の画像へ 次の画像へ
Dois Irmãos Islamd ドイスイルマンス島

フェルナンドデノローニャ海洋国立公園のシンボル、ドイスイルマンス島

Dois Irmãos Islamd, symbol of Fernando de Noronha Marine National Park

 フェルナンド デ ノローニャ島の北西海岸にあるドイスイルマンス島は、この国立公園のシンボル的存在である。 「二人兄弟」を意味するその名のように、海食崖で囲まれた同じような形の島が二つ並んでいる。 陸に近い右の島は陸繋砂州(トンボロ)によって本島と結ばれた陸繋島になっている。 写真手前に見える水の澄んだ海はポルコス湾で、その岸辺には海水面すれすれの高さの平坦な岩場ができている。 これは暴浪時の砕波で削られてできた波食棚またはベンチという地形である。 右の島の両側の裾にも小さな波食棚が見える。波食棚は海食崖が砕波で削られ後退した後に残った地形である。
 明るく青く澄んだ海水とは対照的に、これらの波食棚やドイスイルマンス島の海食崖は全般的に黒味がかって暗い感じがする。 それは、これらの地形が今から 600万~100 万年前(新第三紀鮮新世~第四紀更新世前期)の第二期火山活動で流れ出た黒色の溶岩でできているためである。

2007年3月30日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 7.81, -32 26 31.85 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 8°

PanoraGeo-No.40

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フェルナンドデノローニャ島 7 /17 前の画像へ 次の画像へ

霞岩の黒い溶岩でできたドイス イルマンス島

Dois Ilmans Island of black nephelinite lava

 同じような形で二つ並ぶドイスイルマンス島の沖側の島を海上から見た。 島を取り巻く海食崖の岩石は、フェルナンドデノローニャ島第二期火山活動(600 万~100 万年前)で噴出したキシャバ層のアンカラトライトという黒い溶岩である。
 アンカラトライトは、響岩とともに代表的アルカリ岩である霞岩かすみがん ネフェリナイト)の仲間である。 普通の霞岩は主としてかすみ石と輝石とからなるが、これにかんらん石が加わったものがアンカラトライトで、かんらん石霞岩とも言う。 二酸化珪素(シリカ)の含有量が少なく(45% 以下)鉄・マグネシウム含有量がきわめて多いため黒い色を呈する(→TASダイアグラム。 日本に同じものはないが、西南日本各地から報告されているアルカリ玄武岩が化学成分的にはこれにやや近い。 アンカラトライトはという名はマダガスカル島のアンカラナ特別保護区に由来する。
 海食崖の岩盤には縦縞が目立つが、これは溶岩が冷える時にできる割れ目、すなわち柱状節理である。 画面左後方にはフェルナンドデノローニャ本島の頂が平らな台地が見えるが、その前面の垂直な崖にも柱状節理が目立つ溶岩が露出している。 この台地とドイスイルマンス島とはかつて一続きであったが、波の侵食によって分離され、現在のような絶景ができあがった。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 50 47.81, -32 26 30.52 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 191°

PanoraGeo-No.689

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フェルナンドデノローニャ島 8 /17 前の画像へ 次の画像へ
ドイスイルマンス島の横姿

ドイス イルマンス島の横姿

Side view of Dois Irmams Island

 浜辺に降り、二つの島が重なる方向から見たドイスイルマンス島は正面から見た時とは著しく異なった印象である。 例えるなら将棋の駒を立てて置いたような形の島なので、正面から見るとどっしりと腰を据え安定した印象なのに、横からだとこの写真のように細い塔のようになる。 この塔のような横姿は左右から押し寄せる波による侵食の激しさを物語っている。 手前の島の左側の岩壁などは裾を削られてオーバーハングしている。
 沖合には島の港に向かうクルーザーが見える。この写真の撮影時(2007年)には、このような1万トン級の小型クルーザーが時おりこの島に来ていたが、2012 年ごろから来なくなった。 クルーザーの大型化が原因のようである。環境保全などを考慮したこの島の観光客受け入れ能力は 300~350 人程度とされており、これをはるかに超える大型クルーザー客を受け入れることはできないという行政の判断のためである。

2007年3月30日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 1.91, -32 26 22.80 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 315°

PanoraGeo-No.690

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フェルナンドデノローニャ島 9 /17 前の画像へ 次の画像へ
海食洞門「サパタ洞門」

海食洞門「サパタ洞門」

Portal da Sapata, a sea cave

 フェルナンドデノローニャ島の南西端のサパタ岬に向かっては細長い半島が突き出している。 島の北東部にある港を出て、波の静かな「内の海」をめぐる遊覧船はここまで来て引き返す。半島の向こうは遮るもののない南東貿易風が吹きすさぶ荒海である。 この半島の中ほどに半島を突き抜ける天然のトンネルがある。サパタ洞門とよばれる海食洞門である。 遊覧船のガイドが客に向かって問いかける:何の形に見えますか?・・・あっ、ブラジルだ!、南米だ!地図を思い浮かべてみるとそう見えないこともない。
 この半島はフェルナンドデノローニャ島の第二期火山活動の産物であるキシャバ層でできている。キシャバ層はアンカラトライト溶岩層が主であるが、火山砕屑岩の層もある。 この半島の先端部は溶岩、付け根の部分は砕屑岩からなり、その境界はこの洞門付近にある(→地質図)。 ここでは西に(写真右に)緩やかに傾き下る面を境にして、下位に砕屑岩層が、上位に溶岩層が重なっている*1)。 このような地質構造のもとで、下位の侵食されやすい砕屑岩層が波で削られ、上位の硬い溶岩層は崩落せずに残った結果、サパタ洞門ができあがった。

*1) Magini, C. et al.(2022)の文献における P.8, Fig.6 C にこの洞門付近の溶岩流と砕屑岩層の 境界を示す写真があるが、溶岩流(flow)と砕屑物(Tuffs and Breccias)という記述が誤って 逆になっている可能性がある。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 52 19.13, -32 28 4.54 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 199°

PanoraGeo-No.691

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波の静かなサンショ湾のビーチ

波の静かなサンショ湾のビーチ

Beach in Sancho Bay with quiet waves

 フェルナンドデノローニャ島の南西の端まで行って景勝地を一通り観覧した遊覧船は帰路につく・・・というのが大半の日本の遊覧船であるが、ブラジルの人はこれでは満足しない。 「覧」だけで「遊」がないと「遊覧船」とは言わないらしい。遊びを求めて、船は途中で向きを変え、サンショ湾に入って行った。
 サンショ湾はこの島で最も深く湾入した湾のひとつで、南東貿易風の島陰で波の穏やかな「内の海」の中でもひときわ静穏な海面がひろがっており、シュノーケリングや海水浴の適地である。 背後にアンカラトライト溶岩の垂直な岸壁(海食崖)がそびえる美しい砂浜はウミガメの産卵地なので、産卵期(1~6月)には夜間立ち入り禁止になる。 とくに、ウミガメの一種、アオウミガメの産卵は、ブラジルではこの島をはじめとした大西洋の二、三の島に限られているといわれ、貴重な場所である。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 14.32 -32 26 39.64 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 132°

PanoraGeo-No.39

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フェルナンドデノローニャ島 11 /17 前の画像へ 次の画像へ
波静かなサンショ湾でのシュノーケリング

波静かなサンショ湾でシュノーケリング

Snorkeling in waves quiet Sancho Bay

 フェルナンドデノローニャ島の遊覧船は、島の風下側の「内の海」沿岸の景観を1時間半ほどで見終わった後サンショ湾に入って1時間近く停留、観光客は海水浴やシュノーケリングを楽しむことができる。 フェルナンドデノローニャ島遊覧船の最大の呼び物である。 透き通った水の波の静かな水面、砂地の海底のところどころにある魚類や海藻が豊富な岩礁など、これ以上はないとも言える条件である。 サンショ湾は環境保護の規制が厳しい国立公園地区であるが、立ち入り禁止ということはなく、このような秩序ある観光や、教育、学術研究などで入ることは認められている。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 7.81, -32 26 31.85 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 248°

PanoraGeo-No.294

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アタライア浜のビーチロックと天然のプール

Beach rock and natural pool at Atalaia Beach

 フェルナンドデノローニャ島の魅力のひとつは、暖かい澄んだ水の海でいつでもシュノーケリングが楽しめることである。 「内の海」の波が静かなサンショビーチと並ぶ人気シュノーケリングスポットがこのアタライア浜である。 アタライア浜は、南東貿易風が直接当たり波が荒い「外の海」に面しているが、浜から数十m沖に防波堤のように横たわる岩礁があり、これと浜との間にシュノーケリングに適した天然のプールができている。 この岩礁はサンゴ礁ではなく、砂浜の砂がおもに炭酸カルシュウムで固められてできたビーチロックである。 ビーチロックは熱帯・亜熱帯に多い地形で、日本では沖縄各地で見ることができる(参考:沖縄のビーチロック)。
 アタライア浜は国立公園地区なので、環境保全のための管理が厳しい。浜辺に入場できるのは1回に 20 人程度で、滞在時間 20 分で次のグループと入れ替わる。 サンオイルなどの使用は厳禁。天然のプールでの水中観察にあたっては、水中マスクとシュノーケルをつけてつねに水面に浮いていることが必要で、足をついて歩いたりしていると、監視人に水底の自然を乱すといって注意される。

2007年3月31日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 25.19, -32 24 32.38 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 164°

PanoraGeo-No.694

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アタライア浜とフラーデ島

アタライア湾の礫浜とフラーデ島

Shigle beach in Ataraia Bay and Farade Island

 アタライア浜でまず目につくのは沖に浮かぶ岩だらけの島である。 形がカトリックの修道士(frade)に似ているということでフラーデ島と呼ばれるこの島は、フェルナンドデノローニャ島の最高点ピコの丘と同様、硬い響岩(フォノライト)でできた岩頚である。
 近景のアタライア湾の奥には、青い海に接する岩礁(ビーチロック)と天然のプールがある。その手前がビーチ(浜)で、満潮時や暴浪時にはビーチロックを越えてここまで波が来る。 ふつう、ビーチ(浜)と言えば砂浜のことであるが、アタライア浜の場合、波打ち際は大きな礫が敷き詰められた礫浜(シングルビーチ Shingle beach)になっており、砂浜はその内陸側にある。 浜全体でみると砂浜は湾の奥の一部にしかなく、礫浜が優勢である。礫浜は手前の湾奥部から、左寄りの湾東岸沿いに、フラーデ島に向き合う岬まで続いている。 フェルナンドデノローニャ島のビーチの多くは砂浜なので、アタライア浜のような礫浜はめずらしい。

2007年3月31日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 23.72, -32 24 33.61 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 111°

PanoraGeo-No.28

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Atalaia Beach with conspicuous black cobble アタライアビーチのアンカラトライト溶岩の大礫

黒い大礫(コブル Cobble)が多いアタライア湾奥部の礫浜

Atalaia Beach with conspicuous black cobble

 大礫(コブル)とは地学における砂礫の粒径区分で、直径が 64㎜ から 256㎜ までの礫を指す。 アタライア湾の奥にあるビーチの波打ち際は、この写真のような大礫サイズの礫を主とした礫浜である。 ところどころに背後の崖から落ちてきた角張った白い岩塊(おそらく凝灰岩)も見えるが、丸く黒い大礫が圧倒的に多い。 この黒い礫は、フェルナンドデノローニャ島の第二期火山活動で流出したアンカラトライト溶岩である。 地質図を見ればわかるが、この種の岩石は湾の奥にはなく、湾の東岸だけにある。とくに岬付近にはアンカラトライト溶岩の岸壁が連なっており、そこから崩れた岩塊が波打ち際にまで落ちてたまっている。 このような岩塊が荒波によって湾の奥に運ばれてきたのがこの写真の黒い大礫である。 もともとは大きく角張った岩塊も、運ばれてくる間に割れたり擦り磨かれたりして、このようなサイズのつやつやした円礫になる。 (参考:アタライア湾における礫浜の形成)

2007年3月31日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 25.19, -32 24 32.38 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 197°

PanoraGeo-No.692

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フェルナンドデノローニャ島 15 /17 前の画像へ 次の画像へ
フェルナンドデノローニャ島のレンタルバギー

フェルナンドデノローニャ島の周遊はレンタルバギーで

Use a lental buggy for the tour of Fernando de Noronha Island

 フェルナンドデノローニャ島では、アスファルトで舗装された道路は中軸の国道だけで、多くの観光サイトに入る道路はかなりの悪路である。 このため、島を周遊するにはもっぱらオフロード用のバギーが使われる。 写真はアタライア浜への入場を待つそのようなバギーの列である。混雑によってビーチの自然が損なわれるのを防ぐため、一回の入場者を 20人 程度に絞っているための入場待ちである。 自然保護のための規制はかなり厳格で、かつてクルーザーが寄港して一度に観光客が増えた日には、混乱をさけるためにアタライア浜が閉鎖されたほどである。 緑のシャツの人は入場を管理しているブラジル環境・再生可能天然資源院(イバーマ、IBAMA )の職員である。

2007年3月31日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 51 57.60, -32 25 34.94 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 315°

PanoraGeo-No.289

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フェルナンドデノローニャ島 16 /17 前の画像へ 次の画像へ
Ruins of Sant'Ana Fortification サンタナ要塞遺跡

フェルナンドデノローニャ島サンタナ要塞遺跡

Ruins of Sant'Ana Fortification in Fernando de Noronha Island

 1503 年にポルトガル王室が出した探検隊により発見されたこの島は、探検のスポンサーであるフェルナン・デ・ロローニャ(Fernão de Loronha)に与えられたが、管理不十分で放置されていたため、オランダやフランスに占領されることがあった。 これを防ぐ目的で、18 世紀中ごろ、このサンタナ要塞をはじめ、10 の要塞が島に建設された。 19 世紀になると、長期囚人の刑務所としてこの要塞が利用されるようになったが、その影響で、島の自然は多く損なわれた。 囚人が隠れたり逃亡用の筏をつくったりするのを防ぐため、森林のほとんどが伐採されてしまったからである。この島の刑務所は 1957 年に閉鎖された。 現在の行政中心集落レメジオスにあるこの要塞遺跡の背後には、ピコの丘の岩峰がそびえている。

2007年3月30日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 50 23.22, -32 24 40.15 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 248°

PanoraGeo-No.290

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フェルナンドデノローニャ島 17 /17 前の画像へ 目次へ↓
サントアントニオ港内のイルカ群

サントアントニオ港内を泳ぎ回るイルカの群れ

Herds of dolphines swimming around the Port of Santo Antônio

 フェルナンドデノローニャ海洋国立公園の主役は、その名に海洋が付されていることからわかるように、透明度 30m とも 50m ともいわれる澄んだ海とそこをオアシスとして集まる海洋生物群である。 面積 112.7㎞2 の国立公園は、全部の島を合わせた陸域(26km2)の 70 %とその沿岸の深さ 50m までの海域からなっていて、面積では 84 %が海という、まさに海の公園である。 この国立公園は、西方 150㎞ にあるロカス環礁とともにユネスコの世界自然遺産「ブラジルの大西洋諸島:フェルナンド・デ・ノローニャとロカス環礁保護区群」を構成している。 海の生物でもっとも目につくのは、ウミガメ、クジラ、そしてこの写真のイルカである。 これらのうち、ウミガメは、この島に人が住むようになって以降、卵をとる、肉を食べるなどの習慣があったため、著しく減少してしまった。 ブラジル政府は、ウミガメの保護を目指すタマール(TAMAR)プロジェクト(TA=Tartaruga 亀 + MAR =海)を全国で実施しているが、この島はその実施地のひとつで、島内にはウミガメ博物館がある。

2007年3月29日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 50 3.89, -32 24 16.29 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 2°

PanoraGeo-No.292

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Revised and supplemented on May 17, 2023