Mt. Tsukuba Cable Car

筑波山南面の急斜面を登るケーブルカー

Cable car climbing the steep slope of the south face of Mt. Tsukuba

randum


テーマ 42

筑波山はなぜ目立つ
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 日本百名山でケーブルカーとロープウェーの両方があるのは富山県の立山と筑波山だけである。あちらは、冬季の半年近く休業するが、こちらは通年営業である。 全長 1634m(日本第3位)の筑波山ケーブルカーは、筑波山南面の急な山腹の高低差 495m(日本第2位)を8分で登る。
 筑波山神社拝殿の脇にある宮脇駅を出てしばらくは裾野の延長で、13 ~ 14 度の比較的緩やかな勾配の紅葉のトンネルを行く。 その後、前の窓から上を見上げると、この写真のような勾配の変換点が近づいて来る。宮脇駅から距離にして 430m、標高では 400m の付近である。 線路端の勾配標(右の写真)を見ると、35.8 %とある。勾配 100 分の 35.8(約 20 度)を示しており、ここから先はほぼこのままの勾配で終点の筑波山頂駅まで行く。 筑波山南面は、尾根筋で約 30 度、谷筋では約 40 度という急な斜面であるが、このケーブルカーは、路線全長の 1/3 をカーブさせて 90 度方向を変えたり、途中に全体がカーブした長峰トンネル(全長 118m)を設けるなどの工夫で、勾配を 20 度程度に抑えている。 長峰トンネルをはじめ大正時代の建設当時の土木構造物が多数残っており、2015 年、土木学会選奨の土木遺産に指定さた。
 山麓を走る筑波鉄道筑波線(現在廃線)が開通して筑波駅(現在の筑波山口バスターミナル)ができたのが 1918 年(大正7年)、そこから筑波山神社への自動車道の開通が 1922 年、そして 1925 年(大正 14 年)にはこのケーブルカーの開通、というように筑波山の観光は大正時代を通じて急速に便利になった。 しかし、第二次世界大戦中の 1944 年には、線路などが供出されて線路跡が登山道になるという有様で、戦後、運行が再開されたのは 1954 年である。

2022年11月25日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):+36 13 2.42, +140 6 8.05 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 31°

筑波山ケーブルカーの勾配標

筑波山ケーブルカーの勾配標

JRなど普通の鉄道の勾配標はパーミル(‰)単位であるが、ここではパーセント(%)単位なので、 水平距離 100m で 35.8m 高まる勾配、すなわち 19.8 度を示している。  
PanoraGeo-No.641     直前のページに戻る     BACK⏎  このテーマ 4/14  ⇒NEXT