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少し前までは、「1時間当たり 100㎜ の雨」といえば熱帯でしかみられない
豪雨とされていたが、地球温暖化の最近ではそうでもなくなったようだ。しかし、その頻度は
熱帯が圧倒的に多いことに変わりはない。このような、稀には、あるいはよく探せばほかの地方
にもあるが、やはり熱帯が圧倒的というような地学的事象について考えてみる。 なお、「熱帯」の定義には、以下のようにさまざまなものがある*1)。 1.北回帰線と南回帰線との間の地域(上図A)。これよりやや広く、 2.北緯 30°と南緯 30°の間の地域(上図A)。3.寒冷な冬がない地域、および、 これを数値化した、4.最寒月の平均気温が18℃以下にならない地域 (上図Aの色分けしたケッペンの5つの気候地域)。熱帯では気温の年較差が小さいので、 5.気温日平均較差が年較差より大きい地域(上図B)。6.天気の変化の仕方が 温帯とはっきり異なる地域(温帯では天気の変化を支配するのは偏西風であるのに対し、 熱帯では偏東風)。 *1)および 図B:Ayoade, J. O. (1983): Introduction to Climatology for the Tropics. p.7 (Wiley) 図Aの原図:Beck et al.(2018): Present and future Koppen-Geiger climate classification maps at 1-km resolution. Cientific Data--Nature, 5:180214. |
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熱帯の地学(1) 1 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン中流部、アマゾナス州パリンチンス市郊外の
ワイクラパ川を小舟で航行中に、にわか雨に遭遇した。
遠くに雨雲が見えたと思う間もなく、急に強い風が吹きはじめ、水面が波立ち始めた。
スコールとは、本来、このような突発的な強風で、数秒くらいで収まる突風あるいは
風の息とはちがい、1分あるいはそれ以上持続するものをいう。風に続いて強い雨が降り始めたが、
日本では、この豪雨のことをスコールということも多い。
ワイクラパ川は比較的小さな川であるが、
その河口部は幅広いマウスレークになっている。
このため、水面を吹く風の吹送距離が長くなり、かなり強い風波も発生する。ワイクラパ川のマウスレークの
岸をつくる崖には方々に崩壊地が見られるが、そのような崩壊をもたらすのは、川の流れではなく、
スコールに伴う風波である。
2003年8月6日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 49 28.48, -56 46 59.18 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 293° PanoraGeo-No.503 |
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熱帯の地学(1) 2 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン中流部、パリンチンス市郊外のワイクラパ川の河口付近、
マウスレークの広々とした水面の向こうに積乱雲が立ち上がり、
激しい雨を降らしている。スコールをもたらす雲である。雨域は数 ㎞ と比較的狭いので、
遠くからは太い柱のように見え、雨柱(あめばしら)とよばれる景観を呈している。
近年、気候の温暖化の影響か、日本でもたまに見られるようになったが、熱帯では
ごく普通の現象である。積乱雲のような対流性の雲からの降水を対流性降雨(対流性降水)
あるいは驟雨(しゅうう)性降水というが、このタイプが熱帯における主な雨の降り方である。
アマゾン川中流部の8~9月は雨が最も少ない時期であるが、
時には写真のような積乱雲が発達してにわか雨が降る。パリンチンスの8月と9月の
月降水量はそれぞれ 74mm、63mm で、ケッペンの気候区分では、熱帯雨林気候と
熱帯モンスーン気候の境界に近い。 *1) ブラジル気象庁(INMET)資料(1981-2010年平年値) 2003年8月6日撮影撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 47 29.06, -56 46 40.51 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 177° PanoraGeo-No.502 |
パリンチンスの気温と降水量*1) |
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熱帯の地学(1) 3 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ブラジル、ロンドニア州の州都ポルトヴェーリョの空港を離陸した直後の機窓から
北を望むと、眼下に茶色に濁ったマデイラ川が流れ、その向こうには、アマゾンの平原がひろがっている。
晴れた日なら、ここから千数百km、果てしなくひろがるアマゾンの平原を望むことができるが、
この写真を撮影した3月のこの地方はまだ雨季の最中。上空は雲底のそろった積乱雲の
大きな塊に覆われ、いたるところで雨柱(あめばしら)が立ちはだかり、遠くまで展望できない。
*1)ブラジル気象庁(INMET)資料(1961-1990年平年値) 2007年3月23日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-8 40 15.80, -63 53 15.71 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 331° PanoraGeo-No.504 |
ポルトヴェーリョの気温と降水量*1) |
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熱帯の地学(1) 4 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
この写真が撮影された1月は、ブラジル内陸部のカンポセラード(ブラジル高原の
サバナ原野)は雨季の最盛期で、高さ数千mの空に横にひろがった積乱雲から、雨柱をなして雨が降り注いでいる。
一部の積乱雲はさらに高く発達し、上空約1万mを飛ぶ航空機より高くなっているものもある。
さまざまな気象現象が起こる対流圏の上限である対流圏界面の高さは、極地方で8000mであるのに対し、
赤道付近では16000mほどと高いため、熱帯では1万数千mまで成長する背の高い積乱雲もある。
2002年1月21日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-18 38 49.20, -42 56 4.17 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 315° PanoraGeo-No.518 |
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熱帯の地学(1) 5 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
熱帯に特徴的な海岸地形としてはサンゴ礁がすぐに頭に浮かぶが、
この写真の岩礁はサンゴ礁ではなくビーチロックという地形である。ビーチロックは
昔の砂浜が石灰などで固結してできるもので、熱帯から亜熱帯の海岸に多く見られる。
写真の岩礁は、ブラジル北東部地方(ノルデステ)の中心都市レシーフェの
ボアヴィアージェン海岸にあるビーチロックである。ポルトガル語では、岩礁のことを
レシーフェ(recife)というので、この岩礁はこの都市の名前の起源である。
レシーフェのレシーフェ(ビーチロック)は、は現在の砂浜からやや離れた沖合を
海岸線と平行に走っている。満潮時には水没するが、干潮時には、この写真のように、
外海を隔てる防波堤のようになる。その内側に巨大な天然のプールが出現し、
海水浴には絶好の場となる。レシーフェの港もこの岩礁を自然の防波堤としてつくられている。
1979年12月16日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):8 8 1.51, -34 53 59.16 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 27° PanoraGeo-No.165 |
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ブラジル北東部地方、ペルナンブコ州の州都レシーフェ市の
ボアヴィアージェン海岸の南に続くピエダーデ海岸(ジャボアタン市)は、レシーフェ郊外の
新興居住・リゾート地域で、豪華な高層マンションやホテルが立ち並んでいる。海岸沿いの海を走る岩礁は
サンゴ礁ではなく、昔の砂浜の砂が固結してできたビーチロックである。ブラジル北東部では、
河川や海食崖からの土砂で沿岸の海水が濁っているところが多いためか、サンゴ礁の発達が悪く、
海岸に見られる岩礁の多くはビーチロックである。この写真でも若干の濁りが見えるが、
大雨の後などの濁りはもっとひどい。平和そうに見えるこの付近のビーチは、現在大きな問題を抱えている。
1992 年にこの写真のピエダーデ海岸で、海水浴客がサメに襲われ死亡した。
それ以来 2018 年時点までに、ボアヴィアージェンを中心としたペルナンブコ州の
海岸で 62 件のサメの事故が発生して 24 人が死亡している。この間のブラジル全体における
サメの事故は 100 件ほどなので、ペルナンブコ州はこの問題の中心地である。*1) *1) Alice de Souza他(2018): Ataques de tubarão: 25 anos de medo nas praias em Recife(サメの襲撃:レシーフェの海岸 での25年にわたる恐怖。ポルトガル語、2020/6/13閲覧) 2007年3月15日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-8 10 26.49, -34 54 39.56 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 239° PanoraGeo-No.166 |
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熱帯の地学(1) 7 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ブラジル北東部地方(ノルデステ)の砂浜海岸には、ビーチロックが
あるところが多い。
写真はペルナンブコ州の州都レシーフェから車で1時間ほど南へ行ったところにある保養地
ポルト デ ガリーニャス海岸のビーチロックである。引き潮になるとほとんど現在の砂浜とくっつく
ビーチロックがあり、その断面には、海に向かって緩く傾く層状の構造がみられる。
かつての砂浜が固まったものであることの証拠である。
この地方は9月からが本格的な乾季(土地の人は「夏」という)で、ビーチは多くの
海水浴客で賑わっている。
1996年9月1撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-8 30 31.68, -35 0 0.06 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 190° PanoraGeo-No.167 |
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熱帯の地学(1) 8 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ビーチロックは熱帯から亜熱帯にかけての海岸にみられ、日本でも奄美大島以南の島々に
分布している。写真は沖縄本島北東部の大宜味村の辺士名高校の北の板敷海岸に見られるビーチロックである。
ビーチロックは、浜によっては石材として採掘されて破壊されたものもあるが、ここのものは県の天然記念物に
指定され保護されている。
喜如嘉のビーチロックができた時期は不明であるが、ほかのところではコーラの瓶が一緒に固まったものもあったりして、
かなり新しいものもある。一般には、数十年前から海水面がほぼ現在の高さになった 6000 年前までのいつか
にできたものと考えられている。喜如嘉板敷海岸の板干瀬についての県及び村教育委員会の案内板は
こちら。
1983年10月7日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):+26 42 16.56, +128 7 59.41 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 48° PanoraGeo-No.505 |
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熱帯の地学(1) 9 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ブラジルの東海岸には、南部地方サンタカタリーナ州の
ラグーナ市(南緯 28 度 30 分)まで、いたるところにマングローブ湿地が
分布している。
中小の河川が注ぐ入り江や、入り江が砂州(サンドバー)によって海と隔てられたラグーン
(潟湖、先住民はマセイオーとよんだ)に土砂がたまってマングローブ湿地に
なっているところが多い。
パライバ州の州都ジョアンペソア市が臨むパライバ川河口部は後者の例である。
写真の遠方、大西洋に沿って左右にのびるジョアンペソアの新市街地は砂州の上に立地している。
その手前に、この砂州によって海と隔てられてあったラグーンは、パライバ川が運んできた
土砂でほとんど埋められ、緑のマングローブ湿地になっている。
マングローブ湿地の一番遠くに見える左右に延びた水面は、マングローブを伐採して開かれた
伊勢海老の養殖池である。
2004年7月24日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-7 7 0.29, -34 55 31.90 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 73° PanoraGeo-No.508 |
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マングローブは、熱帯・亜熱帯において、塩水と淡水が混合する汽水域の潮間帯に生育する
植物の総称で、100種くらいの樹種が知られている。干潟が平均海面よりやや高く(厳密には、小潮時の平均満潮水位以上)
になるとマングローブが生え始める。ふつうの植物は塩水にあたれば枯れるがマングローブは枯れない。
ほとんど常に水で満たされている土地に生えるマングローブは、根の呼吸を保つためにいろいろな形の根をもつが、
その代表的なものが、この写真のような空中にせりあがったタコの足のような支柱根である。
このような根にゴミや泥土がひっかかるので、マングローブ湿地の成長(地表の高まりと拡大)が促進される。
サンパウロ市の外港サントス港があるサンヴィセンテ島と本土との間の水面をサントスエスチュアリーというが、
その沿岸一帯には、この写真のようなマングローブ湿地がひろがっている。
1982年8月14日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-23 51 38.01, -46 8 35.85 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 235° PanoraGeo-No.506 |
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日本でも沖縄には多くの地区にマングローブ林が分布している。日本におけるマングローブ林の北限は、
北緯 31 度 20 分、鹿児島湾(錦江湾)西岸の鹿児島市喜入(きいれ)町にあるメヒルギ(リュウキュウコウガイ)の林で、
国の天然記念物に指定されている。
この写真が撮影された 2004 年以降、駐車場が設置されるなど、観察設備は改善されたが、肝心のマングローブ林自体が
著しく貧弱になってしまった。なぜだろう?
最近(2018年)の喜入マングローブ林の状況は
こちらのストリートビューを参照されたい。ビュー画像を左へパン(旋回)してみると、
いかに悲しむべき状況になっているかがわかる。
2004年4月4日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):+31 19 15.99, +130 33 54.76 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 155° PanoraGeo-No.507 |
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樹木が疎らな草原のサバナ地帯ではシロアリの塚がとくに目立つので、
シロアリサバンナという言葉があるほどである。
しかし、シロアリの生息域はサバナには限らない。サバナのように目立たないだけで、熱帯雨林の中にも、
また、乾燥の厳しい有刺灌木林地帯にも、すなわち、熱帯ではどこにでも生息している。
写真はブラジル内陸部のマトグロッソ州の州都クイアバの郊外のカンポセラード(ブラジル高原のサバナ原野、
疎林地帯ともいう)にひらかれた牧場である。
セラードに一般的な土壌である赤色ラトゾル(オキシソル)を積み上げて、無数の小さな赤い
シロアリ塚ができている。
クイアバを中心とした地域は、18 世紀から 19 世紀にかけてゴールドラッシュが起きた地域のひとつで、
現在でも、この写真のポコネー市などでは、小規模ながら砂金の採取が行われている。
写真遠方の大きなマウンドは、砂金取りの穴から掘り出された土砂が積み上げられたものである。
2003年8月13日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-16 16 19.36, -56 36 54.13 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 185° PanoraGeo-No.124 |
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ケニアの首都ナイロビは標高 1700m 前後の高原にあり、ケッペンの気候区分では
温帯冬少雨(夏温暖)気候(Cwb)であるが、そのすぐ西を南北に走る大地溝帯(リフトヴァレー)の底
に下ると熱帯半乾燥気候(高温ステップ気候、BSh)となり、有刺灌木が疎らに生える景観になる。
このような乾燥した気候でもシロアリは元気で、この写真のように高さ5m にも達する巨大な塚を
つくっている。このほか、アフリカや東南アジアには、高さ数m、直径数十mの平たい笠の形(円錐形)の
大型の塚をつくるオオキノコシロアリもいる。
(参照:テーマ11.アフリカの巨大アリ塚)。
1989年12月23日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-1 49 20.85, +36 19 23.11 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 283° PanoraGeo-No.509 |
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熱帯の地学(1) 14 / 18 | 前の画像へ | 次の画像へ |
熱帯のイメージカラーは?と言えば、やはり赤だろう。真っ赤に燃える灼熱の太陽も
さることながら、土の赤さもその理由の一つである。
写真はブラジル内陸ゴイアス州のカンポセラード(サバナ原野)にひらかれたサトウキビ畑で、
刈り取りが終わった畑に赤い色のラトゾルがむき出しになっている。ラトゾルはラトソルとも
表記されるが、ここでは土壌専門家の多くが使うラトゾルを採用、アメリカ新分類ではオキシソル Oxisol
という。ラトゾルは鉄の酸化物が大量に残留した土壌で、同じ鉄酸化物でも赤鉄鉱
(ヘマタイト Fe2O3)は赤、針鉄鉱(ゲータイト FeO(OH) )は黄色を呈する。
したがって、ラトゾルにも写真のような赤色ラトゾルもあれば、
アマゾンに多い黄色ラトゾルもある。
ブラジルのサバナ地帯の代表ともいえるゴイアス州の土壌は、ラトゾルが52%、同じ赤みがかった赤黄色土
(赤黄色ポドゾル性土、ブラジルではアルジソロ Argissolo、アメリカ新分類ではアルティソル Ultisol)
の 15%を加えると、約 2/3 が赤味がかった土壌である*1)。
ひと昔前まで、ラトゾルは不毛で農業には向かない土とされていたが、現在では
石灰や化学肥料の投入など農業技術の発達によって、農地化される例が増えた。ブラジルでは
サトウキビ栽培地の内陸への拡大が著しいが、ゴイアス州南部はそのような新興サトウキビ栽培地域の
一つ。写真は、昼食を終えて午後の仕事に取り掛かるボイアフリア
(農業労働者)たちである。 *1)Características dos Solos Goianos. http://files.euriconeto2.webnode.com/200000070-9b75f9c6f5/GO.pdf(ポルトガル語) 2007年9月11日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-17 12 26.52, -50 7 19.55 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 174° PanoraGeo-No.130 |
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東アフリカのタンザニアの法定上の首都ドドマの郊外で見られた熱帯黒色土である。
おもに雨が降ると水たまりになるような窪地に分布していた。
インドのデカン高原、オーストラリア、東アフリカなど、熱帯や亜熱帯の、とくに雨季と乾季が顕著な
地域に分布する土で、土壌学で、古くはグルムソル(Grumusol)、最近では
バーティソル(Vertisol)とよばれるものである。膨潤性が高い粘土鉱物に富むため、湿ると膨れて盛り上がり、
乾くとこの写真のように深い割れ目が一面に生じる。比較的肥沃で、デカン高原などでは
綿花の栽培に適しているので、コットンブラックソイル(黒色綿花土‐黒綿土)ともよばれる。一方、
乾くと硬くなって耕作が困難、湿ると器具や履物にベタベタとへばりつくという扱いにくい土である。
1990年12月11日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-5 47 31.57, +35 45 49.72 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り - PanoraGeo-No.519 |
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ポドゾルといえば寒冷地域の専売特許のように思われるが、
熱帯にもポドゾルはある。たしかに、成帯土壌としてのポドゾルは寒冷地域にしかないが、
湿潤熱帯には間帯土壌としての熱帯ポドゾル(水成ポドゾル)がある。
写真は、ブランコ岬があるパライバ州ジョアンペソア市郊外で見られた熱帯ポドゾルで、
とくに厚いために、ジャイアントポドゾルと言われるものである。
ジャイアントポドゾルについては、
FAO(2001): Lecture notes on the major soils of the world の Set#9
(http://www.fao.org/3/y1899e/y1899e12.htm#TopOfPage)中の
ポドゾルの項に以下のような記述がある。
「間帯土壌としての典型的な熱帯ポドゾルの断面では、表層に分解が進まず(生の)
酸性でC/N比が高い腐植からなる層がある。その下位の腐植で染まった発達貧弱なA層は、
淡い灰色ないし白色の溶脱層(E層)の上に載っている。このE層は砂質で、
厚さ20㎝から数mのもの(いわゆるジャイアントポドゾル)まである。」
熱帯ポドゾルは、一般に、白砂(しろすな white sand)ともよばれる痩せた土であるが、
建材としての利用価値は高い。写真はその採取場である。
白砂については、テーマ 17.熱帯の白砂を参照されたい。
1995年8月30日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-7 16 17.52, -34 54 42.85 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 100° PanoraGeo-No.520 |
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ブラジル北東部地方(ノルデステ)バイア州の観光地、ジアマンチーナ台地
(シャパーダ・ジアマンチーナ、Chapada Diamantina)を流れる
多くの川は、この写真のムクゲジーニョ川のような、熱帯に特有の黒い水の「黒い川」である。
黒い水と言っても、墨汁のように不透明な黒さではない。深みではかなり黒っぽく見えるが、
浅いところでは透き通ったこげ茶色、いわば、コーラ飲料に似た色である。
このような黒い水は、湿潤熱帯の水はけの悪い土地に発達する白砂(しろすな)からしみだして
くる。アマゾン地方には、ネグロ川をはじめとして、
黒い水の「黒い川」が多い。
ジアマンチーナ台地は、ブラジル北東部地方内陸のセルトンとよばれる熱帯半乾燥地域にあるものの、
標高が高いために降水量が多く、局地的な湿潤熱帯になっている。このため、砂岩などの風化によって
できた白砂(しろすな、テーマ 17.熱帯の白砂)が分布し、
黒い水が生ずる環境にある。
2007年3月6日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-12 27 42.66, -41 25 8.10 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 10° PanoraGeo-No.79 |
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パウロアフォンソ滝は、国内だけを流れる川としてはブラジル最大のサンフランシスコ川にあり、
流量と落差などを総合した規模では、世界でも五指に入る滝である。全長2700km近いサンフランシスコ川の
河口から 270㎞、中流部と下流部を分ける位置にある。
大河川に大規模な滝や早瀬が多いのは、熱帯の川の特徴のひとつと言われる。
フランスの地形学者ビローによれば*1)、川が河床の硬い岩盤を削るには、
粗大な礫が水とともに流れて河床を攻撃し削る必要があるが、熱帯では岩石が地下深くまで風化しているところが多く、
川沿いの斜面から粗大な礫が川にあまり供給されない。そのため、川の侵食力が弱く、滝や早瀬がいつまでも
削られずに残る傾向があるという。たしかに、ナイヤガラ滝など氷河に関係してできた新しい滝を除けば、
世界の大規模な滝のほとんどは熱帯~亜熱帯(緯度25度以下)にある。
写真は増水期の水量豊かなパウロアフォンソ滝であるが、渇水期になると発電所に水をとられて滝の水が涸れることもある。 *1) Birot, Pierre (1960):The cycle of erosion in defferent climates. Jackson, C. I. & K. M. Clayton訳(1968), p.78-80. 2007年3月9日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-9 23 34.46, -38 11 47.55 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 30° PanoraGeo-No.521 |
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