アマゾン川中流部、河口から約 1500㎞ のマナウス市における水位変化である。
縦軸の水位(m)は、従来、海抜標高と考えられてきたが、最近の測量により、これから 3.96m を減じたものが
実際の標高であることがわかった。
点線は 1902 年から 2023 年までの毎年同一日の水位の値(122個)の中央値(50 パーセンタイル)の年変化である。
これによれば、アマゾン川の水位は、一年を周期に緩やかに上下し、最高水位は6~7月、最低水位は 10~11 月に現れる。
年間の水位差は約 10m(図に示された最高 27.88m と最低 17.54mの差)とかなり大きい。水位の上昇は緩やかである一方、下降は比較的急速である。
緑色のグラフは、観測史上最高の水位を記録した 2021 年の水位年変化である。
最高水位は1953 年に 29.69m があった後、長い間、これを超える洪水はなかったが、21 世紀に入ると、
2009 年の 29.77m、 2012 年の 29.97m、そしてこの 30.02m と、次々と記録が更新される事態となり、住民、とくに氾濫原の住民は不安を感じている。
黄色は観測史上最低水位を記録した 2023 年のグラフである。最低水位 12.70m は、これに先だつ 2010 年の最低記録 13.63m より一挙に1m 以上の記録更新である。
しかし、その後の水位の回復は急速で、2024年1月末には中央値近くまで戻しており、アマゾン川の渇水は一時的な現象であった。
観測史上最高水位更新の2年後に最低水位記録の大幅更新など、近年のアマゾン川の水位の挙動は異常と言うしかない。
資料:SGB-ブラジル地質事業所 (2024):
3°Boletim de Alerta Hidrologico da Basia do Amazonas (2.1MB), p.8, Fig.4 を簡略化。
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テーマ 22. アマゾン氾濫原(ヴァルゼア) P.2 テーマ 23. アマゾン式移牧 P.1 の資料 |