流路のパターンにもとづく河川の分類としては、当初、網状河川、蛇行河川、直線河川という分け方が一般的であった*1)。一般に、これらのタイプの河川はこの順に上流から下流に並んでいる。
後に、網状河川と似ているが性質が異なるアナストモージング河川が認められるようになり、河川は4つに分類されるようになった。
しかし、4つのタイプを並列的に扱うより、Makaske(2001)が提案した上の図のように、アナストモージング河川を1次元上のものと考えるのがよいようである。
すなわち、アナストモージング河川は複数の河道をもつ川で、それを構成する河道には、網状、蛇行、直線河川のいずれもがありうるという考えである。
もちろん、河川下流部において直線河川がつくるアナストモージング河川が圧倒的に多く、上流部の網状河川や中流部の蛇行河川からなるものは稀であるが、無いわけではない(たとえば、こちら)。
●以上から、網状河川とアナストモージング河川の違いは明らかである:網状河川は河道の中の低水路が網状になっている川で、低水路にはさまれた高まりは、洪水時には水没して変形あるいは消失する中州であり、ふつう、裸地である。
これに対して、アナストモージング河川は、河道自体が分岐・収斂して網状を呈する川で、河道にはさまれた高まりは、自然堤防と後背湿地からなるなど、氾濫原と同じ性質の川中島であり、植生に覆われていることが多い。
●(蛇足)「アナストモージング河川」という語は長すぎて馴染みにくいし、適切な日本語がない。いっそ、パソコンとかスマホのように外来語の短縮が好きな日本人には、アナモー(アナ網)河川にしたら受けるかもしれない。さて・・・。
*1) Makaske, B.(2001): Anastomosing rivers: a review of their classification, origin and sedimentary products.
テーマ 28. 途方もない大河、アマゾン川をたどる P.16 の資料