アマゾン川 0 / 17 | PanoraGeo目次へ | 次の画像へ |
長さでは、アフリカのナイル川と世界一を競っているが、流域面積や
流量では断然世界一のアマゾン川。
流路が刻々と激しく変化する上流部、著しく深い流路を流れる中流部、
大きなエスチュアリー(三角江)をなして大西洋にそそぐ下流部(河口部)など、性格を
変えながら流れ下るこの大河を、上流から下流へたどってみよう。
M.グールディングほか著、山本・松本訳「恵みの洪水--アマゾン沿岸の生態と経済」(同時代社)p.12 の原図を一部加筆修正 |
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アマゾン川 1 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ペルーの北東部の都市イキトスの南で、二つの大きな支流が合流して
アマゾン川になる。ひとつはウカヤリ川、もう一つがこのマラニョン川である。マラニョン川上流部は
アンデス山脈の西山系(西コルディレラ)と中央山系(中央コルディレラ)を分ける縦谷(山脈の走る方向に
並行した谷)の中を北流する。写真はこの河谷の右岸の斜面中腹(標高 3450m)から下流方向を望んだもので、
谷底の標高は 3100m、遠くに見える山をはじめこの付近の山の頂は 4200m ほどである。
ペルーアンデスの高度帯区分では、人口の密なケチュア帯の
上部からスーニ帯にあたり、谷底から標高 4000m 近くまでの谷斜面には、全面的に斜面畑がひらかれている。
1986年7月28日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-9 51 8.40, -76 36 56.74 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 305° PanoraGeo-No.399 |
アマゾン川上流部の水系 |
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アマゾン川 2 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン川上流部の2大支流のひとつがこのウカヤリ川で、この川の源流から測った
長さがアマゾン川の最長流路長とされている。もう一つの支流マラニョン川と同様アンデス山脈を源流と
するが、アンデス山中をアプリマック川、エーネ川、タンボ川と名前を変えながら流れ下ったのち、
アマゾン平野の一角に出、最大の支流ウルバンバ川と合流してウカヤリ川となる。
その後、アンデス山脈の東麓に沿って約 1500㎞ 北上したところでマラニョン川と合流して
アマゾン川になるが、そのほぼ全区間にわたってこの写真のような顕著な蛇行(メアンダー)を呈するので、
1500㎞ という流路長は、蛇行がないと仮定したばあいのほぼ2倍になっている。アマゾン平野の
アンデス山脈に沿う部分は、地質的にはアンデスの前縁盆地、地形的には南米大陸の中央低地帯と
よばれる地帯で、現在でも沈降傾向にあるきわめて平坦な土地のため、ウカヤリ川は広い氾濫原の中を、
右へ左へと大きく自由蛇行したり、大きく分流したりしながら流れている。
1981年6月29日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-5 53 26.22, -74 24 6.66 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 255° PanoraGeo-No.400 |
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アマゾン川 3 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
写真の左上に見える太い川が、アマゾン平野の熱帯雨林の中を蛇行しながら流れるウカヤリ川で、
写真の左辺が上流、上辺が下流である。屈曲がかなり進み、左上の部分では上流と下流の流路が
かなり接近している。このような部分を蛇行流路の頸(くび)あるいは頸状部(ネック)とよび、
さらに屈曲が進むと、ここで流路の切断(カットオフ)が起こり、元の流路は三日月湖などの
蛇行痕跡になる。 このウカヤリ川本流に、2本の支流が写真の下方から来て合流している。 白っぽい色をした右の支流(白い川)は細かく蛇行している。蛇行の細かさ(波長や振幅)は川幅と おおよその関係があり、川幅の小さい川はそれなりに蛇行の波長や振幅も小さい(一般に、蛇行の振幅、 すなわち蛇行帯の幅は、川幅の 10~25 倍である)。 これに対して、水が黒っぽいためためあまり目立たない左のもう一本の支流(黒い川)は、 ほとんど蛇行していない。この違いはなぜ起こるのか? おそらく、川が運んでいる砂礫の量 が関係していると思われる。 蛇行に限らず、川幅を変えずに川が水平移動するには、一方の河岸が侵食されるとともに他方の 河岸には堆積が起こる必要がある。もし、上流から砂礫が流れて来ないような川があったとしたら ”他方の河岸の堆積”は起こらないから、川が水平移動することはなく、当然、蛇行もしない。 砂礫が流れて来ないという、一見、非現実的な条件の川、これが「黒い川」なのかもしれない。 理由はどうあれ、白い川の流路変動は活発であるが、黒い川の流路は安定していることは事実である (参照: ウカヤリ川本支流の流路変化、1981-2012年)。 黒い川の右岸に見えるかなり広い森林伐採地は、この事実を知った地元民の畑か牧場であろう。 1981年7月9日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-10 23 1.75, -73 56 6.87 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 333° PanoraGeo-No.30 |
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アマゾン川 4 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
イキトスは、アマゾン川上流部、ペルー・セルバ(森林)地方、レロート県の中心都市で、
2017 年の国勢調査人口は 38 万であったが、近年の成長著しく、22 年には50万に近い人口になっている。
写真は、イキトス市街地の北端部分とそれに沿って北(写真上方)へ流れるアマゾン川である。
ここより 120km 上流で二大支流、ウカヤリ川とマラニョン川が合流してアマゾン川になる。
アマゾン川の水は多量の土砂を含んで褐色に濁っている。褐色であっても、土地の人たちはこのタイプの川を
「白い川」とよんでいる。これに対し、写真左手から合流するナナイ川の色がアマゾン川とは
若干異なるのが見て取れる。この川は土砂をほとんど含まず澄んだやや黒味を帯びた水が流れる
「黒い川」である。このあと 20 年余りのうちに、この地域のアマゾン川の流路が驚くべき変化を遂げるのは、
2005 年のイキトスとアマゾン川の衛星写真が示す
とおりである。。
1981年6月27日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-3 44 52.31, -73 14 34.55 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 10° PanoraGeo-No.222 |
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アマゾン川 5 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
この写真を撮影した 1981年には、アマゾン川は、ペルーアマゾンの中心都市
イキトスの市街地に沿って流れていた。イキトスの市街地の大部分は台地の上にあるが、南部には低地
(氾濫原)にも貧しい人たちが住む住宅地がひろがっている。この写真遠方の無数の家が集まっている
ところがそのような氾濫原集落である。、
家があるところもその左の水面もアマゾン川の氾濫原である。撮影した6月は高水期のため、
氾濫原はあふれてきたアマゾン川の褐色に濁った水に浸っている。
氾濫原の家々は、高水期のこのような浸水に備えて浮き家になっている。
その後の流路変更によって、アマゾン川がイキトスの市街から離れ、市街に沿う水面は湖になった。
その湖に注ぐイタヤ川(Río Itaya)は、アマゾン川のように泥で褐色に濁った川ではなく、
やや透明であるが、タンニンなどを含んで黒ずんだ色の川、すなわち「黒い川」である。したがって、
イキトス市街が面する湖も、今では黒っぽい水に変わっている。
(参照:イキトス市付近におけるアマゾン川の流路変更)
1981年6月29日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-3 44 34.78, -73 14 26.29 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 190° PanoraGeo-No.401 |
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アマゾン川 6 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ペルーアマゾン地方の中心都市イキトスの市街南部ベレン地区の
氾濫原とそこにできた集落を、前のページの PanoraGeo-No.401 の写真
(1981年6月撮影)とほとんど同じ位置から、1986年8月に撮影したものである。1981年の写真で
水面だったところがすべて緑の草原になり、別世界という感じの変化である。この変化は、
1981年の写真の撮影が6月、この写真が8月という季節の違い、それに伴った、
アマゾン川の水位の変化によって生じたものである。右のグラフで見られるように、
わずか2カ月という短い期間に、アマゾン川の水位は4~5mも低下する。イキトスにおける
アマゾン川の水位の年変化は平均して 8.4m とかなり大きく、最高水位は5月、最低水位は
9月に現れる。水位の低下は上昇よりはるかに急速である。アマゾン中流部のマナウス市における
水位変化(詳しくはこちら参照)にも同様な傾向があったが、
イキトスの場合にはそれが一層顕著である。地元の農民は土地の肥えた氾濫原での
耕作にもっとも力を入れる。水位が急速に下がり、土地が水の下から次々に現れる
6月と7月にさまざまな作物を急いで蒔き、徐々に水位が上がる9月から 12月にかけてそれらを'のんびりと'収穫する*1)。 *1)Hiraoka, M.(1985): Floodplain Farming in the Peruvian Amazon. 地理評58-B. *2)Goulding, M.ほか(2003):The Smithsonian Atlas of the Amazon. 1986年8月13日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-3 45 1.18, -73 14 34.05 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 190° PanoraGeo-No.402 |
マナウスとイキトスの水位年変化*2) |
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アマゾン川 7 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
ブラジルでは、アマゾナス州の州都マナウス市でネグロ川と合流する以前の
アマゾン川本流をソリモンエス川とよび、それより下流がアマゾン川である。写真は、ネグロ川と
合流する直前のソリモンエス川で、よく見ると、写真の遠方左寄りに黒ずんだ色の水面があるが、
そこがネグロ川との合流点である。
アマゾン水系全体の水の約半分がソリモンエス川からもたらされ、残り半分が、これより下流で
合流するネグロ川、マデイラ川、タパジョス川、シングー川をはじめとした支流群から流れ込む。
ソリモンエス川は、写真のように、典型的な泥で濁った川(現地では「白い川」という)で、
この豊富な泥が堆積することによって氾濫原が形成される。写真の中央から左にのびる
マシャンタリア島、その向こうのシボレナ島、その右のカレイロ島などの川中島は、
川沿いの自然堤防と内側の後背湿地からなっており、単なる川の中州ではなく、氾濫原と同質のものである。
撮影の3月は水位上昇途上の時期で、これより6月まで続く水位上昇に伴い、氾濫原の浸水が進み、
湖沼などの水面は大幅に拡大する。
2006年3月15日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-3 18 37.92, -59 58 57.38 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 33° PanoraGeo-No.172 |
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アマゾン川 8 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン地方の庶民の一般的な交通手段は水上交通で、アマゾン川は
そのメインストリートである。
アマゾン中流部の中心都市マナウスの港では、アマゾン川本支流沿岸の港へ行くたくさんの
定期船が出航を待っている。マナウスからの定期船は、大別して3つのルート(航路)に分けられる。
アマゾン川本流(ソリモンエス川)を溯り、ペル-・コロンビア国境のタバチンガまでの航路、
アマゾン川を下って河口部のベレンまでの航路、そして支流のマデイラ川を溯り、
ポルトヴェーリョまでの航路である
(参照:
マナウス発定期船の行き先と料金)。
途中の都市に寄港しながら、これらのターミナルまで行く長距離便も週に1~2便あるが、
多くは途中の港を往復する中距離の定期船である。マナウスにおけるアマゾン川水位の年変化は
平均して 10m と大きいので、この写真で船が繋がれているオレンジ色の桟橋は、水位と共に上下する
浮き桟橋である。
2005年3月10日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-3 8 27.39, -60 1 25.04 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 142° PanoraGeo-No.403 |
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アマゾン川 9 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
マナウスからベレンへの定期船は、昔も今も、最速3泊4日、流れに逆らう
ベレンからマナウスは 4泊5日である。比較的大型の定期船のばあい、通常運賃の8割増しくらいの料金を出すと、
リージョナルクラスからツーリストクラスに格上げになり、ベッド付の3~4人部屋や写真のような
上甲板を利用できる。リージョナルクラスの乗客はハンモックを持ち込み、自分で吊って寝なければならない。
前日の夕方にマナウスを出て一夜明け、朝食後の船は、パリンチンス市郊外の農業集落モカンボ地区の沖を
航行していた。次の寄港地パリンチンス市街までは約3時間。左岸には写真のような台地(テラフィルメ)、
右岸に広大なツピナンバラーナ島の氾濫原を見ながら、船はアマゾン中流部を下って行く。
1981年7月12日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 26 11.19, -57 21 30.62 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 328° PanoraGeo-No.404 |
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アマゾン川 10 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
パリンチンス市街西方約 70㎞ のモカンボ地区沖を、アマゾン川が写真左上から下に向かって流れている。
緩やかにカーブした流路の内側(右岸、写真では左)には自然堤防に縁取られたツピナンバラーナ島の
氾濫原がひろがっている。
カーブの外側の岸(左岸、写真の右)では、アマゾン川が、直接、台地(テラフィルメ)の裾を洗っているが、
その一部に、レマンソ岬(ポンタドレマンソ、Ponta do Remanso)が角状に突出している。
このため、この部分のアマゾン川は、幅約2㎞ の狭窄部になっている。
このような狭窄部では、当然、幅が狭い代わりに水深は大きく、レマンソ岬沖の水深は 91m
にもなる。ここに限らず、アマゾン中流部の川底は深く、普通でも 60m くらい、
深いところでは 100m を越すような深みもある
(資料:アマゾン川、深さと速さ参照)。
2002年8月14日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 42 33.80, -57 11 27.37 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 329° PanoraGeo-No.405 |
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アマゾン川 11 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン川に突き出したレマンソ岬付近一帯の台地をつくるのは、アルテルドシャン層と
よばれる中生代白亜紀後期の陸成の砂岩や泥岩層である。一般に、あまり固結度の高くない地層であるが、その中に局部的
にやや硬い層があると、このレマンソ岬のような突出部ができる。アマゾン川の激しい侵食によって、岬の尖端から上流側の河岸には、
垂直な露岩の崖が続き、ところどころに、写真のような崩壊地ができている。このような崩壊で生じた土砂は、
アマゾン川の流れで運ばれて、近くの河床や河岸に堆積し、河床変化の要因となる。中流部まで下ってくると、
アマゾン川の運搬物質も河岸をつくる物質も泥(粘土やシルトなどの細粒物質)が中心になる。このような川は一般に川幅に対して
深さが大きく、また流路変化を起こすことも少ない、いわば「おとなしい川」である。アマゾン川中流部は、
本質的にはそのような川であるが、方々で台地を削って、河床変動を起こす原因となる砂などの粗粒な物質の供給を受け
るため、完全に「おとなしい川」になりきれずにいる。
2002年8月11日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 27 23.80, -57 20 1.22 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 73° PanoraGeo-No.408 |
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アマゾン川 12 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
レマンソ岬下流のアマゾン川(赤線は写真の範囲) |
アマゾン川が写真左上から右下に向かって流れており、写真左上隅近くの左岸には、
角状に突出したレマンソ岬が見える。
その対岸、写真の左から下にかけてのアマゾン川右岸には、氾濫原湖や水路などの水面の多い氾濫原がひろがり、
6月という高水期なので、一部の水面は、アマゾン川の濁り水が流れ込んで褐色になっている。
アマゾン川は、レマンソ岬の下流で幅が急にひろがり、いくつかの川中島を挟んで流れている。
右の地形図によれば、川中島は、北から、アルコ島(Ilha do Arco)、オンサス島(Ilha das Onças)
マリーニョ島(Ilha Marinho)に大別されるが、一番南(手前)のマリーニョ島は
高水期にあたるこの時期には、大部分が水没していて、高い部分だけがバラバラに顔を出している。
これらの川中島を分ける水路のうち、地形図で RIO AMAZONAS (アマゾン川)と記載されている一番手前の
水路が、谷線(Thalweg、最も深い部分)があるアマゾン川本流で、それ以外は副次的な流れである。
このような副次的な流路のことをこの地方ではパラナー(Paraná、側流)とよんでいる。
アマゾン中流部では、上流部でみられるようなドラスティックな流路変化
(たとえば こちら)はないが、
川中島の成長・消滅のような河床変化は頻繁に生じている
(参考:川中島の変化)。
981年6月27日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 47 46.54, -57 13 54.38 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 357° PanoraGeo-No.406 |
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アマゾン川 13 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾナス州東部、パリンチンス市西方、モカンボ地区のアマゾン川を
上流を向いて撮影したものである。逆光の水面が白く反射して美しい。
アマゾン川は分流と合流を繰り返し、分流した流路の間に川中島を抱きながらな流れている。
このようなタイプの川を英語ではアナストモージング・リバー(Anastomosing river)という。
Anastonosing の原型の Anastomosis は、日本語では吻合(ふんごう)と訳される医学用語で、
血管などの管状器官をつなぐ手術のことや、血管などが分岐収斂している状態を意味している。
後者の意味の吻合は血管、とくに静脈に多くみられ、たとえば、手の甲や二の腕の表面には、
不規則な網状に分岐収斂しながら走る青い静脈がみられる(人が多い)。このような形態の川が
「アナストモージング河川」であるが、適当な日本語がない。「吻合河川」では何のことかわからない
し、「血管河川」「静脈河川」は不気味。「網の目状河川」が良さそうだが、
これには「網状河川」(Braided river)という似た先輩がいて、
割り込むのは難しい。50 年前くらいまで、両者は一括されていたが、今では全くの別物ということに
なっている*1)。詳しくは、こちら を参照してください。 *1) Makaske, B.(2001): Anastomosing rivers: a review of their classification, origin and sedimentary products. 2002年8月14日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 42 24.96, -56 59 19.72 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 313° 写真中心位置:-2 28 37.40, -57 15 4.64 (Google Map) PanoraGeo-No.397 |
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アマゾン川 14 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾナス州の東の端にあるパリンチンスは、人口でこの州第2の都市である。
とは言え、人口は州都マナウスの約 1/20、約 11万にすぎない。この小都市の桟橋に、ヨーロッパからの
観光客を乗せたかなり大型の観光船が接岸している。毎年6月末にこの都市で行われる牛祭りをなぞらえた
ショーを見物するためである。観光船のおもな目的地はマナウスであるが、地方振興を考えた
州の要請による寄港とのことである。パリンチンス市街の前の
アマゾン川の深さは 98m と非常に深いので、約2万トンのこのクラスの船が航行するのに何ら問題はない。
これより上流のマナウス港には、9万トンのクイーンヴィクトリア号が入港したこともある。
ただ、アマゾン川の濁った水面下には浅瀬が隠れているところもあり、とくに大型船は油断できない。
2005年3月9日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-2 37 21.23, -56 43 55.55 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 267° PanoraGeo-No.407 |
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アマゾン川 15 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン中流部のマナウスを出て船中3泊後の朝、目が覚めるとベレンへ
向かう定期船は速度を緩めてマラジョー島の西を北から南に流れるタジャプル水路
(Furo do Tajapuru)を通過している。すでに、アマゾン河口部である。タジャプル水路は
アマゾン川本流とその南を並流するパラ川を結ぶ天然の運河である。このようにひとつの川と
別の川相互をつなぐ水路や川と湖沼をつなぐ水路のことを、現地ではフーロ(Furo)とよんでいる。
マラジョー島の西には、タジャプルー水路をはじめ、2、3本の水路が分流と合流を繰り返しながら
流れて、マラジョー島と本土を隔てる水路地帯をつくっている
(参照:
アマゾン河口部の衛星写真)。ベレン・マナウス航路の船は、これらの水路のうち最も近道の
タジャプル水路を利用することが多い。
沿岸には住宅が点々と並び、カヌーで住民が行き来している。水路の水が褐色に濁っているのは、
アマゾン川の濁水が大量に流入してくるためである。ここまで来ればベレンまではあと1日だ。
1981年7月14日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-1 21 53.61, -50 48 8.39 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 180° PanoraGeo-No.398 |
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アマゾン川 16 / 17 | 前の画像へ | 次の画像へ |
アマゾン河口部には、マラジョー島の西を通ってアマゾン川とパラ川をつなぐ
何本かの水路(フーロ)があるが、それらはすべてアマゾン川からパラ川に向かって流れている。
写真は、これらの水路がパラ川の広い水面に流入するところにできたデルタ(三角州)である。写真上辺から来て
広い水面になって左辺上部へ抜けて行くのがパラ川である。
デルタの水路は、枝分かれと合流を繰り返し、まさに、血管のようなパターンを呈している。
デルタにみられるこのような水路網は、アナストモージング河川の
それと本質的に同じものと考えられている1)。 アマゾンの自然に関する著名な研究者ハラルド・シオリ Harald SIOLI は、アマゾン河口部において 「本当」のデルタといえるのはここくらいであると言っている。アマゾン河口部は、 マラジョー島を含めて多数の島々が水路網と錯綜していて、一見、広大なデルタ地帯のように見える。しかし、 少なくとも、これらの島々は、現在のアマゾン川の土砂が堆積して形成された低湿なデルタ島ではない。それらは 更新世末期~完新世中期(ほぼ1万年~5千年前)の堆積物からなる低い台地の島である。現地の人たちは、 水面から2~3m から数 m 高くて水に浸かることのないこのような台地(最も低いテラフィルメ)をテーゾ(Teso)とよび、 そこに焼畑をつくって、キャッサバなど乾いた土地を好む作物を栽培している。 1) Makaske, B.(2001): Anastomosing rivers: a review of their classification, origin and sedimentary products. 1993年8月8日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-1 44 0.37, -50 33 8.99 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 160° PanoraGeo-No.410 |
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アマゾン川 17 / 17 | 前の画像へ | PanoraGeo目次へ |
南北に分かれたアマゾン河口部のエスチュアリー(三角江)のうち、
南エスチュアリーの奥の部分をパラ川、外洋に近い部分をマラジョー湾という。
川と湾の境界は明確なものではないが、写真はそのマラジョー湾に近いパラ川からマラジョー島を
望んだものである。
パラ川の上流も、またそれに注ぐ大河トカンチンスも、土砂の少ない澄んだ水を流す川であるが、
マラジョー島の西を通る水路群を通じてアマゾン川の濁り水が流入するため、ここでは褐色に
濁った水になっている。
この付近で川幅は 15km ほどあり、川というより湾に近いが、淡水である。
後方、マラジョー島の
低く平坦なスカイライン中央部のわずかな低まりは、島から流出する大きな川の河口があることを示しており、
航行の重要な目印である。
1993年8月1撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-1 39 31.33 -49 3 24.13 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 350° PanoraGeo-No.41 |
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