これはアラリペ台地(シャパーダ・ド・アラリペ)東部のグーグルアース衛星写真である。 この台地は、非常に平坦な台地面とはっきりした傾斜変換をもって急斜面や急崖が取り巻いている。 図中の赤い線は、そのような傾斜変換点、すなわち台地の縁を結んだものである。
この台地の縁の平面形には、ピンク色の矢印で示したようなU字型あるいはC字型のへこみ、すなわち谷が多数見られる。その谷頭(谷の一番奥)が平らな谷底を半円形の急斜面が囲む形をしており、古代ギリシャの円形劇場(アンフィシアター)に似ていることから、このような谷を円形劇場型谷頭の谷(Amphitheater-headed valley)*1)という(参照:舞浜アンフィシアター)。
このような谷のでき方は次のように説明される: アラリペ台地をつくる砂岩層(エシュー層)は透水性が高く、降った雨水の大部分が浸透し地下水になる。 このような地下水が台地斜面の麓から湧出する際に土砂を一緒に排出する。これを地下水サッピングと言う。 こうして麓をアンダーカットされた台地斜面は崩壊し後退する。 地下水の湧出が特に多い部分では、このプロセスが頻繁に起こり、台地に食い込んだ円形劇場型谷頭の谷ができる。 それ以外の部分も、このような作用によって、急傾斜を保ったまま、台地斜面が徐々に後退して行く。
なお、このような円形劇場型谷頭の谷は、深層風化でできた風化層(サプロライト)の丘陵地でもみられる。
*1) Barta G., De Hon R. (2014) Amphitheater-Headed Valley (Mars, Earth). Amphitheater-Headed Valley (Mars, Earth) In: Encyclopedia of Planetary Landforms. Springer, New York, NY.
テーマ 12. シャパーダって何だ? P.15 および P.20 の資料 |