筑波山における1955年1月の最低気温の高度分布*1)
筑波山における2009年1月の最低気温の高度分布*2)
筑波山の裾野の比較的高いところには、ミカンなどの栽培やスダジイなどの暖帯林の存在から周囲の低地より温暖な土地があることは知られており、20 世紀半ば以降、気象観測によってそのような斜面温暖帯の実態が明らかになってきた。 1955 年の観測(上の図)では、西斜面の標高 170~270m 付近は低地より3~4℃最低気温が高い斜面温暖帯になっていることや、東斜面では温暖帯の高さが西斜面より低いなどのことが明らかになっている。 約半世紀後の 2009 年に、精密な機器と大規模な体制で実施された観測(下の図)でも、これらの点に関してはほぼ同じであるが、南斜面の斜面温暖帯は強さも幅も大きいことが示されている。
*1) 吉野正敏(1961):『小気候―局地気象学序説』(築地書館)より引用
*2) 植田宏明ほか(2011):筑波山の東西南北4斜面における高度 100m 間隔での通年観測―斜面温暖帯に着目して― 天気、58(9)777-784 の資料の西斜面、南斜面、東斜面の観測値をもとにして、最低気温(日最低気温の月平均値)の高度分布を図化した。
西斜面のつくし湖に近い地点(W2地点)の資料は、水面の影響などが予想されるため除外した。
テーマ 43. 個性豊かな筑波山-その2:裾野も楽しい筑波山 P.11、P.12、P.13、P.14 の資料