Summit area of Mt. Fuji randum


ぼくとわたしの
富士登山
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富士山山頂部、火口と火口縁の峰々

Summit area of Mt. Fuji, crater and peaks on the crater rim

 富士山頂上にある火口の北東四半部である。スカイラインには火口縁をなす峰々が並んでいる。 画面左端に白山岳の東斜面が見え、それから右へ、緩やかに高まる久須志岳、傾いた薄い地層の末端の高まりである 大日岳、そして一番右の高い峰が伊豆ヶ岳である。これらの峰に取り巻かれた火口の中心部は、垂直な崖で囲まれた 大内院とよばれる深い穴である(参照:富士山山頂部の地形図)。
 大内院を囲む火口壁の下部は、落石が貯まった崖錐の斜面であるが、その上部はほぼ垂直な崖になっていて 火口縁の峰々をつくる岩石が露出している。富士山の現在の形は今から 3500 年くらい前までにほぼ出来上がっていたが、 その後 2300 年前までの間に起きた何回かの噴火によってさらに高さを増した。これが富士山最後の山頂噴火で、以後の 噴火はすべて山腹からのものである。 この写真の崖に見られる岩石はこの最後の山頂噴火でできたもので、大部分がアグリチネート(岩滓集塊岩)と呼ばれる 岩石である。火口から飛沫状に噴出され落ちてきた大量の高温岩片が急速にたまると、内部にもった熱で溶けて 岩片相互が溶接された状態になり、冷えると固い岩石になる。この現象が溶結で、できる岩石が アグリチネートである。当然、アグリチネートは火山の火口付近に多い岩石である。アグリチネートの 溶結が強く起きた部分では、岩片は完全に溶けて溶岩のようになり、緻密な岩石ができる。伊豆ヶ岳直下の垂直な 火口壁で柱状節理(縦縞の割れ目)が発達する部分はそのような強溶結のアグリチネートである。
1979年8月3日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):+35 21 35.78, +138 43 49.30 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 29°
PanoraGeo-No.623     直前のページに戻る     BACK⏎ このテーマ 8/17 ⇒NEXT