標高 709m、僚友の筑波山より百数十m低いが、十分に目立つ存在の加波山は花崗岩の山である。
「筑波山は風化しにくい斑れい岩でできているので高い」と言いふらされている筑波山地域ジオパークでは、「ボク、斑れい岩ではないのにチョット目立ち過ぎかな?・・・」と、加波山クンが当惑気味。
加波山頂には、この写真のように、加波山神社本宮本殿と岩切御隠居と呼ばれる巨岩が対峙している。本殿の台座の石垣が東日本大震災により隙間ができて痛々しい。
標高 708.8m の三等三角点は両者の間、人が立っている足元あたりにある。「本来なら、4、5m 高いこの巨岩の上がボクの頂上、筑波山は1m 高くしてもらったのに」と、これは加波山クンの僻(ひが)みである。
頂上に来てみて、加波山が、また筑波山が、目立つ山になり得た理由がわかるような気がする。
山頂一帯は、この岩切御隠居や三尊石をはじめとして巨大なご神石のオンパレードである。
そしてこれは筑波山との共通点でもある。巨石・奇岩が目立つ山は高く目立つ山でもあると言えそうである。
巨石・奇岩が多いということを言い換えれば、節理(割れ目)の間隔が広い(節理が疎)ということである。
節理の間隔が広い土地は深層風化を受けにくく、侵食に耐えて高い山として残る(参照:節理の疎密が風化や地形に影響する例)。
結論として、筑波山が高く目立つのは斑れい岩という岩石のためではない。深層風化を受けても多数の巨岩が残るような節理の間隔が広い土地であったためである。
簡単に言うなら、筑波山が目立つのは割れ目の少ない岩でできた山だから、ということになる。
・・・こういう考え方もあるということ、頭の片隅にでも置いておいていただければ幸甚。
2018年5月25日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):+36 17 55.40, +140 8 38.51 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 341°
PanoraGeo-No.666
テーマ 42. 個性豊かな筑波山-その1:筑波山はなぜ目立つ? P.14 で使用