The Amazon, branching and merging

分流・合流を繰り返すアマゾン川、でも網状河川ではない・・・

The Amazon, branching and merging, but it is not a braided river

randum


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アマゾン川をたどる
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 アマゾナス州東部、パリンチンス市西方、モカンボ地区のアマゾン川を上流を向いて撮影したものである。 逆光の水面が白く反射して美しい。 アマゾン川は分流と合流を繰り返し、分流した流路の間に沖積島(川中島)を抱きながら流れている。 このような写真を見てすぐ思い付く術語は網状流(もうじょうりゅう)あるいは網状河川である(右の写真)。 網状河川については、「多くの浅い水路と砂州(砂礫の州?、引用者注)からなる河川を網状河川と呼びます。 網状河川は山地に近い河川の上流部に発達し、増水時には流路は合体して太い一本の流れをなします。 網状河川からは、礫や砂を主体とする地層が堆積します。」*1)というのが一般的な説明である。 しかし、この引用文に下線を引いた部分は、この写真のアマゾン川には全く当てはまらない。 この部分のアマゾン川は、流路は深く、山地から遠い下流部で、増水時にも一本にはならず、泥を堆積する川である。
 今から数十年前までは、パターンの類似だけで、このアマゾンのような川も網状河川と呼んでいたようであるが、今では区別されている。 このアマゾン川のような川は、英語ではアナストモージング・リバー(Anastomosing river)と言うが、ブランチング・チャンネル(Branching channel)と呼ばれるものも同類の地形である。 前者には適当な訳語がないので、ここではアナストモージング河川*2)としておくが、後者に関しては分岐河道*3)という訳語がある。
 網状河川とアナストモージング河川の根本的な違いは、水路に挟まれた部分が洪水で全面的に水没して移動・消失する不安定な州(砂礫堆)であるか、植生が十分生えるほど安定した沖積島(川中島)であるかである。河口部のデルタに見られる分岐した水路やそれに挟まれたデルタ島も後者に属する(参照:流路パターン(平面形状)に基づく川の分類)。

Braided river inthe Andes Mountains

ボリビア、アンデス山中の網状河川、コチャバンバ市南方のカピノタ川

*1) 産総研 地質調査総合センター絵で見る地球科学: 網状河川
*2) Anastomosing の原型の Anastomosis は、日本語では吻合(ふんごう)と訳される医学用語で、血管などの管状器官をつなぐ手術のことや、血管などが分岐収斂している状態を意味している。 後者の意味の吻合は血管、とくに静脈に多くみられ、たとえば、手の甲や二の腕の表面には、不規則な網状に分岐収斂しながら走る青い静脈がみられる(人が多い)。 このような形態の川が「アナストモージング河川」であるが、適当な日本語がない。「吻合河川」では何のことかわからないし、「血管河川」「静脈河川」は不気味。
*3) 地形学辞典(二宮書店):p.606:項目「網状流」

2002年8月14日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-2 42 24.96, -56 59 19.72 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 313°
写真中心位置:-2 28 37.40, -57 15 4.64 (Google Map)

PanoraGeo-No.397   🔍拡大

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