アマゾン川河口部水路地帯のデルタのような地形Delta-like topography of the Canals Zone, Amazon River Mouth Region |
randum
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アマゾン河口部、マラジョー島の西にあり、本土とこの島をへっだてる数本の水路(フーロ)を空から南望した写真である。 左上の広い水面は、パラ川と呼ばれてはいるが、実際にはマラジョー島の南を限る南エスチュアリーの最奥部である。 エスチュアリー(三角江)の湾奧に注ぐ川が土砂を堆積してデルタ(三角州)をつくることがある。これをエスチュアリーデルタ(Estuarine Delta、日本語では三角江三角州?)という。 カリフォルニア湾の奥に注ぐコロラド川のデルタなどはその例。 いくつもの水路が走るこの写真の低地も、アマゾン川(写真手前の枠外)から分かれた川が土砂を堆積して南エスチュアリーの奥につくったエスチュアリーデルタであるという説がある。 アマゾンの自然に関する著名な研究者ハラルド・シオリ Harald SIOLI は、アマゾン河口部の中で「本当」のデルタと言えるのはこの部分くらいであると言っている。 アマゾン河口部、とくに北エスチュアリーには、多数の島がありその間を水路が網の目のように走っている(衛星写真参照)。 これがエスチュアリーデルタの例にされることが多いが、それは違うと彼は考えている。 本当のデルタは現在そこを流れる川が堆積した新しい土砂からなり、高さも川の水面とは大きく違わない低地、すなわち氾濫原(ヴァルゼア)のはずであるが、マラジョー島はもちろん、このエスチュアリーの中の多くの島はそうではないからである。 これは卓見である。しかし、この地域の 25 万分の1や 10 万分の1の地図が発行された現在、この水路地帯もデルタかどうか怪しくなってきた。 これらの地図には、ところどころに独立標高点が表示されており、この写真に写っている範囲の島々には 21m、25m、31m、最も高いところでは 40m という表記がある (参考:25 万分の1地図)。 すなわち、これらの島々は、マラジョー島西部や本土の海岸部と同じ小起伏の台地(テラフィルメ)であって、洪水のたびに冠水して土砂が堆積するようなデルタの中州(デルタ島)ではないと考えざるを得ない。 従って、アマゾン河口部には大規模なデルタは無いということになる。
1993年8月8日撮影 カメラの位置 (緯度,経度):-1 44 0.37, -50 33 8.99 (Google Map) 撮影方向:北から時計回り 160°
PanoraGeo-No.410 🔍拡大