Flooded period, flooding of the Madeirinha River

増水期、マデイリーニャ川氾濫!

Flooded period, flooding of the Madeirinha River

randum


 テーマ 22

アマゾン氾濫原
3

BACK⏎ ⇒NEXT

直前のページに戻る

 ブラジルの首都ブラジリアから北西へ向かう飛行機が、目的地マナウスに着く30分ほど前(約100㎞手前)に見える景観である。 明るい赤褐色に濁ったマデイリーニャ川が画面下端から上端へと流れている。 マデイリーニャ川とは小さなマデイラ川という意味。アマゾン川最大の支流で流送土砂量も最大と言われるマデイラ川の分流なので、マデイリーニャ川も土砂を大量に含んだ濁った水の川である。
 右下の森林のない陸地と左上の雲間に見える緑の土地が台地(テラフィルメ)で、その間に広いところで幅8㎞ほどの低地がある。 撮影した3月はこの辺の川の水位がかなり高い時期で、氾濫原の低い部分(低ヴァルゼア)は水没し、自然堤防などの高ヴァルゼアだけが水面上に現れている。 マデイリーニャ川右岸では自然堤防の一部を破って濁水が流れ込み、背後の水面は濁って赤褐色になっている。 一方、左岸の水面にはまだ濁水が流れ込んでいないが、水位上昇は6月まで続くので、間もなく流入が始まるはずである。 写真のやや上部、中央から左端にかけての水面には鳥趾状三角州を思わせるような列状の島影が見られる。 これは自然堤防の一点を突き破って流入したマデイリーニャ川の濁水が土砂を堆積してつくった地形である。 このような現象をクレバススプレー(crevasse splay)、その堆積物をクレバススプレー堆積物または破堤堆積物という(右の図参照)。

type of deposits in flood plain

一般の氾濫原に見られる沖積堆積物*1)

アマゾン氾濫原をつくる主な沖積堆積物は、自然堤防堆積物、氾濫盆地堆積物、破堤堆積物であり、 一般の氾濫原における主要な堆積物であるポイントバー堆積物は少ない。

🔍拡大

 水位が低い 12 月のグーグルアース画像を見ると、マデイリーニャ川の両岸の氾濫原はかなり広いことがわかる。 かつては、この低地全体が溺れ谷の水面であったが、マデイリーニャ川の土砂が堆積してこのような氾濫原ができた。アマゾン盆地の氾濫原の多くはこのようにしてできたものである。 したがって流送土砂が少なく澄んだ水の川沿いでは、氾濫原の発達が貧弱であるか、あるいは溺れ谷がそのままの残ってマウスレークマウスベイになっている。 溺れ谷と言うと、ふつうはリアス海岸のように海に近いところを思うが、勾配がきわめて小さいアマゾン川では、完新世の海面上昇(縄文海進)による海の入り江(溺れ谷)がこのような内陸にまで及んでいる。

*1)地形学辞典(二宮書店刊)、p.410、「沖積堆積物」(松本栄次 執筆)より。

2006年3月15日撮影  カメラの位置 (緯度,経度):-3 45 1.74, -59 29 19.51 (Google Map)  撮影方向:北から時計回り 49°

PanoraGeo-No.346   🔍拡大

直前のページに戻る   BACK⏎  このテーマ 3/21  ⇒NEXT